第49の皿 カドの取れた辛みで、担々麺

昔よく通った中華料理店が、ひっそりと閉店しているのを知った。
気付いたのが遅かったのか、貼り紙もすでになく、
インターネットで検索しても情報が出て来ないので、
移転なのか廃業なのかもわからない。

 

ご無沙汰だったのは、もちろん自分で料理をするようになり、
ここに限らず飲食店をあまり利用しなくなったからだが、
このお店の場合、それだけが理由ではなかった。
閉店は残念なニュースだが、開業中からすでに残念なお店だったからである。

 

味は、文句なし。
その割に、価格も安い。
しかし、オーナーシェフの性格に難があった。
接客態度が極めてよくないのだ。
それ以外のポテンシャルはかなり高かったので、
非常に惜しまれる欠点ではあった。
飲食店評価投稿サイトでも、同じ指摘がいくつも見られたから、
客を選ぶのではなく、誰にでも分け隔てなく応対が悪かったのだろう。

 

帰ったばかりの客や電話予約してきた客の悪口を、
別の客がいるにも関わらず吐き捨てる。
また、アルバイトを大声で叱る。
その叱り方も、教育目的ではなく
感情に任せてなじるだけだから、非常に感じが悪い。
そんな調子だからスタッフが居着くはずもなく、店は常に人手不足。
そうなると店主の機嫌がまた悪くなり・・・
と、どうしようもない負のスパイラルである。

 

ある日、店の外に掲出されていた貼り紙の
「アルバイト急募!フレンドリーな職場です」
は、来店経験のある誰もがツッコミを入れたであろう、
生涯忘れられないジョークである。

 

担々麺(2人前)

 

〈具〉
豚ひき肉 100g
長ねぎ 1/2本(みじん切り)
にんにく 1かけ(みじん切り)
おろししょうが 小さじ1
赤唐辛子 1本(みじん切り)
しいたけ 2〜3枚(みじん切り)
カシューナッツ 1つかみ(ざっくりと刻む)
もやし 1/2袋
豆板醤 大さじ1
甜麺醤 大さじ1
ごま油 大さじ1

 

〈スープ〉
豆乳(成分無調整) 200ml
水 800ml(200ccほど熱湯を使う)
酒 大さじ2
鶏ガラスープの素 大さじ2
豆板醤 大さじ1
みそ 大さじ1
練りごま 大さじ2

 

生中華麺 2〜3玉
すりごま お好みで
粉山椒 お好みで
ラー油 お好みで

 

  1. フライパンにごま油を引き、しょうが&にんにく&赤唐辛子&長ねぎを熱し、香りが出たらひき肉を入れてしっかり炒める。しいたけ、カシューナッツと豆板醤、甜麺醤を入れて全体に味を付け、最後にもやしに火を通す。すべての具材を取り出しておく。
  2. ボウルで合わせたスープ用の調味料を熱湯200ccで溶かしてフライパンに入れ、水600ccを加えて煮立たせてから豆乳を加え、沸騰させないよう温めておく。
  3. 鍋で湯を沸かし、ラーメンを入れる直前に丼に2のスープを張る。ラーメンがゆで上がったらお湯を切り、素早く丼に入れて1の具を載せる。
  4. お好みでラー油をひと回し掛けて、すりごまと粉山椒を掛ける。

 

そのお店は担々麺がおいしく、もやしとカシューナッツを使って、
辛みを少しマイルドにしているのが印象的だった。
ここに紹介したレシピは、お店の味には及ぶべくもないが、
家庭で作った割には味がかなり複雑で、なかなかのレベルである。

 

四川風味のお店にあって、いちばんの激辛メニューが店主本人だった。
むき出しの辛みを抑え、カドの取れた味わいとなって、
いつの日かお店の再開を期待したい。