• 第103の皿 趣味の春雨サラダ

    料理は趣味じゃなく家事、というスタンスではあるが、

    「趣味の」という枕詞がついた料理がいくつかある。

    そのココロは「心の趣くままに作る、今食べたい味」というもので、

    マカロニサラダやサラスパ、ポテサラ、春雨サラダなどである。

     

     

    共通項としては、パスタやじゃがいも、春雨という、

    炭水化物をメインにしたカロリーの高そうなものばかり。

    サラダと言いながらヘルシーからは程遠い代物であり、

    さらに「おかず能力」はまったくないという特徴がある。

     

     

    おかず能力がないのだから、極論すると食卓に並べる価値がなく、

    まさしく「趣味で」、好き好んで食べるメニューである。

    健康的にはむしろ不要なものだから、それを食べるのはまさに趣味、

    食べること自体がエンタメという、心踊る食べ物である。

     

     

    春雨サラダ

     

    緑豆春雨 約160g

    きくらげ 2枚(湯で戻して細切り)

    にんじん 1/4本(千切り)

    きゅうり 1本(斜め切り→千切り)

     

    ハム 4枚(短冊切り)

    ヤングコーン水煮 2パック(10本)(縦切り)(※たけのこ水煮細切りでも可)

    かにかまぼこ お好みで(裂く)

     

    ごま油 大さじ1

     

    一味唐辛子 少々(七味でも)

    黒酢 大さじ3

    しょうゆ 大さじ3

    白ごま 大さじ1

    砂糖 小さじ1.5

    ラー油 お好みで

     

    1. 千切りにして塩(分量外)を振ったにんじんときゅうりを乾煎りして水分を出す。

    2. 10分ゆでた春雨を、ボウルに張った氷水で冷やして水を切り、ごま油を絡める。

    3. 1・2とその他の食材と調味料をボウルで和え、均等に味が入るよう混ぜ合わせる。

     

     

    つるつるでぷりぷりの食感が楽しい春雨は、

    緑豆でんぷんを主成分とした炭水化物。

    見た目はダイエットに向いていそうな顔つきをしているが、

    いも類の仲間なので糖質が過剰なほどに含まれている。

     

    一時、カップ麺の代用としてスープ春雨が流行したことがあったが、

    ダイエット効果はまったく期待できない。

    それどころか、てきめんに太るので、

    相撲部屋に入門を考えている人以外は要注意である。

  • 第102の皿 母の知恵と、卵ともやしとえのきだけの中華風炒め

    実の母親は、8歳の時に亡くなっているのだが、

    無口な人だったこともあり、あまり思い出がない。

    ただ、自分が料理するようになってから、

    母親は割と料理上手だったことを思い出すようになった。

     

     

    パンの耳を揚げて砂糖や塩をまぶしたおやつや、

    電子レンジでスポンジを焼いたケーキ、

    ミキサーで作ったみかんジュースなどの記憶もあるので、

    きっと料理は好きだったんだろう。

     

     

    伯母(母の姉)から後年、新婚当時のエピソードを聞いたことがある。

    アルミ箔工場で働く父のサラリーでは、月末の困窮もしばしば。

    そこで、給料日になると必ず、お米とともに、

    みそ・塩・しょうゆなどの基本調味料を買い揃えておいたとか。

     

     

    「こうすれば、お金が足りなくなっても、

    野菜の切れ端でおかずを作って、給料日まで凌げる」

    と言っていたそうである。

    母親は、なかなかのしっかり者だったらしい。

     

     

     

    卵ともやしとえのきだけの中華風炒め

     

    卵 4個(溶く) ※塩、こしょう(ともに分量外)を振っておく

    もやし 1/2袋

    えのきだけ 大1袋(2分割)

     

    オリーブオイル 大さじ2

    鶏ガラスープの素 大さじ1

    オイスターソース 小さじ1

    酒 大さじ2

     

    1. フライパンに多めの油を熱し、溶き卵を入れて大きく混ぜ、半熟程度で取り出す。

     

    2. 残った油で、もやしとえのきだけを炒め、調味料を加えて混ぜ合わせる。

     

    3. 火を落とし、1を戻して混ぜ合わせる。

     

     

     

    昔も今も「物価の優等生」と言われる卵と、

    給料日前に頼もしい、野菜界の激安王2品による料理である。

    直接教わったわけでもなんでもない料理だが、

    形を変えた「おふくろの味」と言えようか。

  • 第101の皿 ほんのりと、ピスタチオのクリームパスタ

    我が住まいは、同じ沿線の2つの駅からほぼ等距離の位置にあり、

    通勤の際には、行きは必ずAを、帰りはAとBを使い分けている。

    Aは急行停車駅で、乗客は多くなるが利便性には替えがたい。

    また、乗り換え駅Cと同じ右側の扉が開くのも、Bにない利点である。

     

     

    東西に商店街が伸び、急行も停車するAに比べると、

    隣り駅のBは非常に地味で、利用者もさほど多くない。

    大ターミナルの始発駅から、Aよりも近くにあるのに、

    「最寄り駅はB」と伝えても、ピンと来ない人も多い。

     

     

    そんなBだから、逃げも隠れもしていないのに、

    街全体が隠れ家のような気配を漂わせている。

    ある平日の夜、駅近くのイタリアンレストランで、

    珍しい素材を使ったパスタに出合った。

     

     

    ピスタチオのクリームパスタ(2人前)

     

    ピスタチオ 殻をむいて100g(+トッピング用に12粒ほど)※ひとにぎり分くらい

    にんにく 小1かけ(刻む)

     

    ショートパスタ 125g(ロングパスタでも)

     

    オリーブオイル 大さじ1

    白ワイン 大さじ4

    コンソメキューブ 1個

    粉チーズ 大さじ1

    白ごまペースト 大さじ1

    ココアパウダー 小さじ2

    パスタのゆで汁 大さじ6

     

    豆乳(もしくは牛乳) 300cc

     

    黒こしょう お好みで

     

     

    1. ピスタチオを乾煎りして、ブレンダーもしくはフードプロセッサーで細かく砕く。

     

    2. オイルを引いたフライパンでにんにくに火を通し、香りが出たら1をあけ、調味料を入れてペースト状になるまで混ぜ合わせる。パスタのゆで汁を加え、トロリとするまでのばしたら豆乳を加えて温める。

     

    3. ゆで上がったパスタを和えてから皿に盛り、トッピング用のピスタチオを載せ、黒こしょうを振り掛ける。

     

     

    パスタソースの素材としては、ピスタチオは初めての味。

    ほんのりとした甘みがクセになる。

    実際のお店の料理はもう少し緑がかっていたから、

    本当は薄皮も除くのが理想かもしれない。

     

     

    パスタ以外の料理も大変おいしかったのだが、

    食事の最初から最後まで、ついに貸切状態だった。

    予約なしで入店したのだが、もし行かなかったら、

    この日の収支はどうなっていたのだろう?と、ほろ苦い気持ちになった。

  • 第100の皿 カウンターの葛藤、貝割れ菜のおひたし

    たまには、皿が回っていないお寿司屋さんに行きたい。
    皿の代わりに会計時に目が回るというオチがあったりもするのだが、
    季節のものをおまかせで握ってもらう時間は、
    あらゆるジャンルの外食の中でも屈指の贅沢であろう。

     

    おまかせとなると、握りたてをいただけるカウンターがベストだが、
    あれこれと話し掛けられるのが苦手なので、どうにも落ち着かない。
    幸い、職人さんはそういう客を見極める目があるらしく、
    過剰に構うこともなく、適度な距離感で接してくれることが多いのではあるが。

     

    いっそのこと「サビ抜きで」のお願いのように、
    「トーク抜きで」と最初に申告するシステムがあればと思う。
    そんな要請に当たり前のように
    「はい、トーク抜き一丁!」と応じてくれる店の出現を夢見ている。

     

    貝割れ菜のおひたし

     

    貝割れ菜 4パック以上

    白だし 大さじ1
    水 100cc

     

    1. ミニフライパンで、水と調味料をひと煮立ちさせる。

    2. 火を止めて貝割れ菜を入れ、さっと煮て、冷ます。

     

     

    紹介したレシピは、あるお寿司屋さんの「突き出し」を、
    自己流で再構築したものである。
    ものすごく安価な食材で、料亭の一品のような、家庭料理らしからぬ味に仕上がる。
    コラム100皿到達を記念した、とっておきのメニューである。

  • 第99の皿 ほどよい脂で、中華風豚の角煮

    「月(にくづき)」に「旨い」と書いて、「脂(あぶら)」。
    肉のおいしさを、文字から保証しているのが素晴らしいではないか。
    豚ならバラ肉、牛ならカルビ、鶏なら、もも肉。
    脂をメインで味わう料理なら、豚の角煮がいちばんであろう。

     

    豚の脂は、オレイン酸やステアリン酸が豊富で、
    悪玉コレステロールを減らし善玉コレステロールを増やすなど、
    なかなかの栄養を含んでいるらしい。
    とは言え、カロリーも高いので、さすがに摂り過ぎは避けたいもの。

     

    そこで、余分な脂を落として、ほどよい量を食べよう、
    というのが今回の調理のテーマ。
    よく見るレシピは、下ゆでして脂を抜くものだが、
    脂が溶け出した汁を排水管に流すことに、どうも抵抗がある。

     

    このため、下ゆでせずに焼くことで、脂を落とすことにしている。
    フライパンで表面を焼き固めると、透明な脂が染み出す。
    この脂をペーパーに吸わせてゴミとして捨てれば、
    排水管と、その先にある海も汚さずに済むわけだ。

     

    中華風豚の角煮

     

    豚バラ肉 500〜700g(適当な大きさにカット)

     

    水 500cc
    鶏ガラスープの素 大さじ2
    八角 2個
    しょうゆ 大さじ5
    甜麺醤 大さじ1
    オイスターソース 大さじ1
    酒 大さじ5
    黒糖or三温糖 大さじ4
    はちみつ 大さじ1
    おろししょうが 小さじ1
    五香粉 少々

     

    1. 豚肉をフライパン(油は不要)に入れ、脂身の面から6面すべてに焼き色を付ける。

    2. 水と調味料を入れた圧力鍋に1を入れ、「豚の角煮」の調理法に従ってセットする。

    3. 圧が抜けたら内なべを取り出して冷まし、保存容器に汁ごと移し、冷蔵庫に入れる。

     

     

    冷蔵庫に入れた角煮は、汁の表面に脂が浮いて固まるので、
    簡単に取り除くことができる。
    2段階の脂落としで、肉と脂のバランスがちょうどよくなる。
    角煮丼はもちろん、汁も活用できる角煮ラーメンもおすすめだ。