第102の皿 母の知恵と、卵ともやしとえのきだけの中華風炒め
実の母親は、8歳の時に亡くなっているのだが、
無口な人だったこともあり、あまり思い出がない。
ただ、自分が料理するようになってから、
母親は割と料理上手だったことを思い出すようになった。
パンの耳を揚げて砂糖や塩をまぶしたおやつや、
電子レンジでスポンジを焼いたケーキ、
ミキサーで作ったみかんジュースなどの記憶もあるので、
きっと料理は好きだったんだろう。
伯母(母の姉)から後年、新婚当時のエピソードを聞いたことがある。
アルミ箔工場で働く父のサラリーでは、月末の困窮もしばしば。
そこで、給料日になると必ず、お米とともに、
みそ・塩・しょうゆなどの基本調味料を買い揃えておいたとか。
「こうすれば、お金が足りなくなっても、
野菜の切れ端でおかずを作って、給料日まで凌げる」
と言っていたそうである。
母親は、なかなかのしっかり者だったらしい。
卵ともやしとえのきだけの中華風炒め
卵 4個(溶く) ※塩、こしょう(ともに分量外)を振っておく
もやし 1/2袋
えのきだけ 大1袋(2分割)
オリーブオイル 大さじ2
鶏ガラスープの素 大さじ1
オイスターソース 小さじ1
酒 大さじ2
1. フライパンに多めの油を熱し、溶き卵を入れて大きく混ぜ、半熟程度で取り出す。
2. 残った油で、もやしとえのきだけを炒め、調味料を加えて混ぜ合わせる。
3. 火を落とし、1を戻して混ぜ合わせる。
昔も今も「物価の優等生」と言われる卵と、
給料日前に頼もしい、野菜界の激安王2品による料理である。
直接教わったわけでもなんでもない料理だが、
形を変えた「おふくろの味」と言えようか。