• 書くこと

    コピペがスタートして10年。ずっと、テーマを決めることに悩んできた気がする。元々そこまで主張したい何かがある人間ではない。良さそうな案を閃いたとしても、すぐに「いや、別にわざわざ記事にする必要もないか」と考えてしまう。苦労せずに書けた回数は片手で数えられるくらいだ。

     

    本当は、最後の記事は最初の記事と同じテーマで書こうと考えていた。だが甘かった。10年前の私は、なんと「書くことが無いから、テーマは自由にします!」とか抜かしていたのだ。我ながら、さすがにちょっとどうかと思う。ス●ムダンクの安●先生ですら呆れ返るんじゃないだろうか。

     

    何を書くか悩んだ経験は、過去に何度もある。その中で、思い出せる最古の記憶は小学生の頃。将来の夢をプリントに書いて提出するという授業のものだ。

     

    当時、私には夢らしい夢がなかった。毎日を遊んで暮らすのに精一杯で、将来なんて考えたことがなかったのだ。案の定、いつまで経っても、何も思い浮かばない。何も書けない。周りからは鉛筆の音が聞こえてくる。まずい、どうしよう、書けていないのは自分だけかも・・・。机に置かれたプリントを見つめながら、私は焦っていた。

     

    警察、消防士、先生、どれもいまいち。そうだ!定番のプロスポーツ選手はどうだろう?いやいやちょっと待て。自分がやっているのは剣道じゃないか。野球とかサッカーならわかるけれど、剣道のプロってなんだ。聞いたことないよ。

     

    などと唸っているうちに、気がつくと、クラスメイトの大半は先生に提出を済ませていた。残るは、自分含めてわずか。最後の一人だけにはなりたくない。

     

    「そろそろ残りの人も提出してね」先生がそう言うと、私以外の残りの未提出者が一斉に立ち上がり始めた。もう考えている時間はない。てきとうに決めるしか・・・!

     

    そうして私が書いたのは「大工」だった。

     

    やってしまった。プリントを提出して席に戻ってきた途端、後悔が押し寄せてきた。いったいどこから大工が出てきたのだろう。大工になりたいなんて、一度も感じたことはないのに。てきとうに誤魔化すとしても、もう少しマシな回答があったんじゃないか。

     

    さらにイヤだったのは、他に大工と書いたやつが何人もいたことだった(生徒が40人いたとはいえ、大工が被るっていうのも不思議なクラスだなと、今は思う)。プロスポーツ選手などと書いて被るのはわかる。だが、大工で被るとはどういうことだ。僕はこの先、どうなるんだろう。授業が終わったあとも、幼いなりに、将来への漠然とした不安は頭に残り続けた。

     

    しかし、発見もあった。どうやら自分は「つくること」に興味があるらしい。そういえば、ミニ四駆やプラモデルを組み立てるのは好きだった。申し訳ないが、家はつくりたくはない。けれど、何かしらのつくる仕事につければいいなあ。帰り道の途中にある桜並木の下を歩いている時に、漠然とそんな思いを抱いた。

     

    あれから20年くらい経ち。今、私は小学生の頃は知りもしなかったコピーライターになって、広告をつくっている。しかも10年以上続けられている。自分もなかなかやるじゃないか。

     

    世の中、本当にどうなるかわからない。10年後どころか、5年、3年、いや1年後すら何が起こっているか予想がつかない。だが、こんな時だからこそ。1年、3年、5年、いや10年後も書くことを続けていければなと思う。・・・よし。なんとか締めの記事っぽくまとまったぞ。

     

    終わりに。これまでコピペを見ていただき、ありがとうございました。たまにもらえる感想、嬉しかったです。そして、過去のコピペ制作に協力してくださった方々にも、感謝を伝えたいです。コピペは終わりますが、アドブレーンのコピー部は続きます。今後の活動に、どうぞご期待ください。

     

    私からは、そんな感じです。

  • 憧れ

    「テキストサイト」という文化を知っているだろうか。文字通りテキストを主に使用したサイトのことで、2000年代の初め頃、ネット世界の一部で熱狂的なブームを巻き起こしていた。当時は光回線なんてなかったから、画像はとても重たくて使えない。使えるのは、ほぼ文字だけ。だが、その制限こそが独特のおもしろさを生み出していた。

     

    北陸の片隅にいた私とテキストサイトの出会いは、たしか高校2年の頃だったと思う。放課後、クラスメイトから「めちゃくちゃおもしろいものがある」と教わったのだ。はじめは興味がわかなかった。テキスト?ようするに文章でしょ?漫画とかの方がおもしろいんじゃないの?なんて思っていた。だが、他の友人たちと学校のパソコン室に忍びこみ、パソコン画面を覗くと

     

    新世界が広がっていた。

     

    衝撃だった。脳天を金属バットでぶん殴られた感じがした。世の中に、こんなにおもしろいものが、あったなんて・・・!その場では少しかっこつけて「ふーん、けっこうおもしろいじゃん」なんて言っていたが、頭の中では興奮しっぱなしだった。

     

    それからというもの、毎日のようにネットを覗く生活を送るようになった。侍●をはじめとした有名どころはもちろん、アクセス数がさほどない中小サイトまで片っ端からチェックした。赤裸々な日記だったり、時事ネタいじりだったり、小説だったり。どれも刺激的な内容で、人気やアクセス数に関係なく(当時はアクセスカウンターを置いているサイトがほとんどだった)おもしろいサイトは、それこそ星の数ほどあった。

     

    今の時期になると、思い出すサイトがある。そのサイトの運営者は、なんと高校生だった。「はじめまして。高校生ですがよろしくお願いします!」という投稿を見た時は嘘だと思った。だが、嘘にしては内容があまりにもリアルだった。それまでは、ネットは大人のものだという認識だった。自分みたいな子供は、覗き見ることしかできないと思っていた。なのに、見ず知らずの同世代が発信する側になっている。そして、それを自分が読んでいる。不思議な感じだった。いつしか私は、彼のファンになっていた。

     

    更新は毎日続いた。内容は学校のことがほとんどで、くだらないことが多かったと思う。けれど、そのくだらなさが心地よかった。同じくらいの歳の子の、遠く離れた街での生活を一緒に体験しているようで楽しかった。どこの学校にもだめな教師はいるんだな、とか。体育祭や文化祭はおんなじような時期にやるんだな、とか。いつも一緒に帰っていた友人に彼女ができたら少し寂しくなるんだよな、とかとか。

     

    その日は突然やってきた。学校から帰ってきて、いつものようにサイトにアクセスすると、新しい投稿が上がっていた。

     

    昨日、母親が言いました。

    「受験勉強しないからパソコン禁止」

    もう更新はできません。

    今までありがとうございました。

     

    あまりにも突然の別れだった。あわてて掲示板を確認したが(当時、たいていのサイトには掲示板ページがった)、もうリンクは消されていた。せめて最後にお別れの挨拶がしたかったのだ。だが、掲示板ページへのリンクは既になくなっていた。メールアドレスなんて、わからない。

    とはいえ、親の隙を見て続けるんじゃないの?という気持ちもあった。だって、これまで毎日更新してきたじゃんか。それがいきなり途絶えるなんて。さすがにちょっと無理があるだろう、と。だが、それから一度もサイトが更新されることはなかった。何度ページを開いても、同じページが表示されるだけ。そのうち、サイト自体が表示されなくなった。名残惜しくて残しておいたブックマークも、いつしか弟によって消されてしまっていた。

     

    ブームは過ぎ去り、今やネットには画像や動画で溢れかえっている。けれど、私はテキストサイトという衝撃を、あのおもしろさを忘れられないでいる。消えてしまった彼は、何をしているのだろう。受験は成功したのだろうか。きっと、本人はもうサイトを運営していたことを覚えていないかもしれない。けれど。私は、彼のファンなのだ。今でも。できれば、どこかで、また彼の書いたくだらない文章を読みたい。憧れは時間では消せない。むしろ濃くなる。

     

    えーっと、実はコピペは終わります。次が最終回です。突然の別れになってしまい申し訳ありませんが、あと一回お付き合いください。では、また来月。

  • グッピー先生

    昨年の仕事納め前日、起きたら左下の奥歯が欠けていた。舌で触れると、あるべきところに、あるべき歯の感触がない。慌てて鏡で確認したが、欠けた部分はほんの少しで安心した。ただ、欠けた奥が茶色くなっている。どう見ても虫歯だ。

     

    虫歯になるということは、どうしてこんなにも人を憂鬱にするのだろう。できれば目をそらしたい。放置したい。けれど、時間が経てば経つほど悪化するだけだし、最悪神経を抜かなきゃいけなくなる。数年前、虫歯を見ないふりをして、わりと目立つところが銀歯になってしまった。同じような失敗は絶対にしたくない。2020年を気持ちよくスタートするためにも、歯医者に行くことにした。

     

    ネットで近所の歯医者を検索すると、6件ほどがヒットした。上から順番に見ていく。どこのサイトもきれいで、良さげだ。しかし、どうも決め手に欠ける。どこも同じようなデザインで、同じようなことが書いてあって、違いがわからなかったのだ。もう面倒だから、最初に見たところにしようかな。そう思いながら6件目のA歯科医院のサイトを開いた瞬間、おや?と思った。

     

    左右のスペースがガラ空きで、トップページの画像はありえないくらい解像度が低い。さっきまで見てきたサイトと違い、どこか身近に感じられるデザインだった。なにより私の目を引いたのは、院長紹介のページだ。経歴欄の下らへんに「日本グッピー学会 所属」と書いてある。グッピーに学会なんてあるのか。というか、歯医者なのにグッピー・・・。もうここしかない。直感がそう告げていた。私はすぐに予約の電話をかけた。

     

    自宅から歩いて5分ほどの場所にA歯科医院はあった。中に入ると、こじんまりとした待合室に暖かな空気が漂っている。客は一人もいない。その静かな空間で、横幅が150センチはある水槽が存在感を放っていた。想定していたよりもガチな規模だった。水槽の中では、色とりどりのグッピーたちが気持ち良さげに泳いでいる。水草もバランスよくレイアウトされていて、苔もまったくついていない。丁寧な仕事ぶりは明らかだった。やはりこの歯医者さんは当たりだな。椅子に座りながら、私は勝利を確信した。

     

    「おまたせしました、どうぞ」呼ばれて診察室に入ると、白髪で眼鏡をかけたおじさん先生がいた。どこか、少し父に似ている。言われるがままに、診察台へと座る。口をすすいで、正面を見て驚いた。自分の正面の棚に、水槽がセッテングされていたのだ。ちょっとこれは想定外だった。まさか、施術中も水槽が見られるなんて。きっと、患者の心を和ませるための配慮に違いない。なんというホスピタリティだろう・・・。症状や処置の説明を受けながら、私はまたもや勝利を確信した。

     

    ちなみにだが、診察の結果、虫歯よりもむしろ顎関節症のほうがまずい、ということがわかった。寝ている間に歯を強く食いしばっているせいで、歯に細かなヒビが入っている。そのヒビから菌が入り、虫歯になっていたようだ(先生がレントゲンを見て「これはひどい」とつぶやいていたのが今でも気になっている)。知らないうちになっている人もいるらしいので、みなさん気をつけてほしい。

     

    治療は滞りなく終了した。どういう状況で、どんなことをするのか。ちゃんと説明をしながら、なるべく歯を削らないよう丁寧に治療をしてもらえた。やはりこの歯医者にして正解だった。しばらくはここにお世話になるだろう。雑談でもして、コミュニケーションを深めるのも悪くない。とすれば、話題はやはりグッピーだろう。きっとにこやかに話に乗っかってきてくれるはずだ。

     

    私「そういえば、グッピーがお好きなんですか?」

    先生「はあ・・・まあ」

     

    返ってきたのは、あまりにもそっけない返事だった。さっきまでの優しい顔が、少し曇ったように見えた。えっ。実はグッピー好きじゃないの?こんなに水槽置いてあるのに?なんとなく気まずいまま、待合室に出て室内を見渡す。大きな水槽。その周りの壁には、グッピー関連の記事の切り抜きが何枚も貼られている。どう見ても先生はグッピー大好きだ。なのに、どうして。

     

    そうか。そういえば、先生と私は初対面だ。急に距離を詰めようとしたから嫌がられたのかも。ツイッターで知らない人からいきなり「FF外から失礼します!」ってされたら、そりゃ「なんだこの人」ってなるよな。自分はFF外の人なんだ。なんだか急に申し訳なくなってきて、お会計をすませた後、すぐに外に出た。

     

    あれから毎週のように先生に治療してもらっているが、グッピーの話は一度もしていない。そして、年末年始に父と顔を合わせたが、先生とはまったく似ていなかった。

     

    遅くなりましたが、あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

  • ポケモン

    ポケモンの新作、ソードとシールド、どっちを買いましたか?

     

    僕はまだ迷っています。

    違いなんてゲットできるポケモンの種類くらいだから、

    ガチでやるつもりないならどっちでも良いとは思うんですけどね。

    発売した次の日には殿堂入り(一応のクリア)

    している人がいたりして、相当おもしろいようですよ。

     

    僕ぐらいの歳だと、初代の赤・緑がドンズバでした。

    まだまだネットが普及していない時代。

    ゲーム雑誌や友達ネットワークを介して入ってくる

    わずかな情報だけが攻略の頼りでした。

    時間をかけて育てたお気に入りのポケモンが、

    実はめちゃ弱だと知った時の衝撃たるや。(ラッタ)

     

    僕は強さよりも、見た目とか名前の響きでポケモンを選んでいました。

    マルマインとか、ストライクとか。

    一方、友人Nは強さ重視でパーティを組んでいました。

    ステータス画面を見るだけで実力の差は一目瞭然。

    そもそも見た目からして、いかついヤツが多かった。

    なんなんだ、そのごっつい龍は・・・。(カイリュー)

    Nからすると、わざわざ強くないポケモンを使う僕が

    よく分からなかったようです。

    僕からすると「好きだからしょうがないじゃん」だったんですけれど。

     

    「つよいポケモン よわいポケモン

    そんなの ひとの かって

    ほんとうに つよい トレーナーなら

    すきなポケモンで かてるように がんばるべき」

     

    過去作では、こんなことを言ったキャラクターもいるようです。

    グッとくるなあ、名言だ・・・。

     

    ゲームの危険性うんぬんっていうニュースをたまに見かけますが、

    やっぱり子どもにとってゲームは良いものだと思います。

    やった分だけ、思い出になる。

    昔のポケモンのBGM聴いただけで

    たまらなくなる人って結構いるんじゃないかな。

     

    さて、かなりの年月が経ったわけですが、

    今の僕はどんなポケモンの選び方をするのでしょうか。

    昔と変わらず、フィーリングで決めるのか?

    それとも攻略サイトを見て、強さだけで決めるのか?

    ちょっと楽しみです。

    ていうか、まずは買わないといけないんですけど。

    Nはどうかな。

    ていうか、元気にしているのかな。

    がんばり屋だったから、

    どっかの街でチャンピオンになっているのかな。

     

    早めですが、年内の更新はこれで最後です。

    一年間コピペに読んでいただき、ありがとうございました。

    2020年も、よろしくお願いします。

  • 慣れ

    増税前ということで、電動シェーバーを買ってみた。

    思ったよりも種類が豊富にあり少し迷ったが、

    定価より1万円以上安くなっていた型落ちモデルをチョイス。

    洗浄器付きだから、毎日のメンテナンスも楽にできるらしい。

     

    本当は必ず買うつもりではなかった。

    売り場で見てみて、微妙だったらやめておこう。

    そう思っていた。

    しかし、対応してくれた店員さんの説得力がすごくて、

    これは納得できる、と購入に踏み切ったのだ。

     

    各メーカーの違いなどをきっちりと教えてくれるのはもちろん、

    自分の実感を交えて説明してくれるのが有り難かった。

    「日本人の硬いヒゲには、日本のメーカーがいいですよ。

    僕もこのシリーズ使っていますが、しっかり剃れて満足度高いです」

    「僕も肌が弱いんですけれど、これを使い始めてからは、

    血が出ることはなくなりましたね」

    とくに難しいことは言っていない。

    けれど、実体験が伴っているから、すごく納得できる。

    知識としての情報と、感情としての情報が絶妙に噛み合っていて、

    ああきっとこの人は広告コピーを書かせても上手いだろうなと思った。

    やっぱり実際に使ってみたり、経験するのは大事だね。

     

    そして、なによりも説得力の裏付けとなっていたのが、店員さんのビジュアル。

    上のほうで書いたことの意味がなくなってしまうが、

    ぶっちゃけた話、ビジュアルが説得力の9割だった。

    めちゃくちゃヒゲが濃くて、いかにもヒゲ剃りに苦労してそうな、

    じつに青々とした口周りをしていたのだ。

    このヒゲと毎日格闘している人の経験談なら、きっと自分にも役立つはずだ。

    店員さんが各モデルのことを、ひとつずつ説明してくれる。

    そのたびに、私はそのモデルと店員さんのヒゲを見比べていた。

    見た目の説得力というものも、やっぱり強いね。

     

    さて、実際に使ってみての感想。

    剃り終えた後に少し肌が痛くはなるけれど、

    カミソリの時のように血が出ることはなくなった。

    まだうまく剃れなくて時間がかかってしまうのも、

    慣れていければなんとかなりそうだ。

    今のところ、いい買い物ができて、ヒゲの濃い店員さんには感謝している。

     

    あえて難点をあげるとすれば、洗浄器のほうだ。

    いや難点というかただ驚いただけなのだけれど、

    思っていたよりも、結構うるさいんだなこれが。

    本体をセットしてボタンを押せば

    洗浄→乾燥→充電をワンストップで行ってくれる

    仕組みなのだが、洗浄と乾燥の段階でなかなかの騒音を発する。

    特に洗浄時の「ウィーン!」という音は、

    ちょっと不安になるレベルの大きさだ。

    おそらくシェーバーの歯を振動させて細かい汚れを浮かしているのだと思うが、

    けっこうな頻度で鳴るから気になってしょうがない。

    最初に使った時は、気になりすぎて

    外出するつもりが洗浄中ずっと観察をしてしまった。

    まあ、これも慣れればなんとかなりそうだ。

     

    消費税だって、高いなと感じるのは初めだけで、

    きっとすぐに何も感じなくなるのだろうな。

    それが良いのか悪いのかはわからないけれども。

    いいかげん、キャッシュレスも導入しないとなあ。