第9の皿 魚はひらがな、かつおの和風カルパッチョ

Q. ひらがなでの表記をほとんど見かけない単語がある。それは何か?
(答えはコラムの最後に)

 

魚は、漢字でもひらがなでもカタカナでも書き表せるが、
私はもっぱら、ひらがな表記を好む。
理由は、ひらがなの方がおいしそうに思えるからだ。

 

カタカナ表記は、生物(セイブツ)を連想させる。
漁獲される以前、つまり食べ物ではない、
生き物としての姿が浮かび、後ろめたさを覚えてしまうのだ。

 

つくづく、人間は罪深い生き物だと思う。
「いただきます」という言葉は、獲った人や調理した人への感謝ではなく、
「命をいただきます」の意味という。
いただくからには、せめて精一杯、おいしくしなくては申し訳ない。

 

さて、今回の題材の、かつお。
おすすめは、カルパッチョである。
獲れたてはいざ知らず、スーパーで売られているものなら、
これが最もおいしい食べ方と思っている。

 

かつおの和風カルパッチョ

 

かつおのたたき 1さく(1cm幅に切る)

 

大葉 3枚(細切り)
みょうが 1個(細切り)
オリーブオイル 大さじ2
ぽん酢しょうゆ 大さじ2
白すりごま 少々
ゆず顆粒(ゆずの皮を粉末加工した調味料) 少々

 

  1. かつおを切り、皿に並べる。
  2. 刻んだ大葉とみょうがを散らし、オリーブオイルとぽん酢しょうゆを振り掛ける。
  3. 10分ほど冷蔵庫で冷やす。
  4. 白すりごまとゆず顆粒を散らす。

 

この食べ方は、さほど鮮度を問わない。
なので、時季外れの解凍ものでも、おいしく食べることができる。
もっとも、みょうがが大きなポイントとなるため、
みょうがが出回らない季節に作ることはない。

 

表記の話に戻るが、かつおの場合、カタカナで書かない理由がもうひとつ。
カタカナだと、日曜の夕方によく見かける、坊主頭の少年を思い出してしまうからだ。

 

冒頭のクイズの答えは、
A. かたかな
統計を取ったわけではないが、私はこの表記を見たことがない。
カタカナで書かれた「ヒラガナ」も、また同じである。