31の日々

あっという間に2月になってしまいましたが、

どうやら平成の30年間を生き延びたようで、

平成31年、2019年を無事に迎えることができました。

 

とはいえ、いつからか新年を迎えるたびに思い出す

「門松は冥土の旅の一里塚 めでたくもあり めでたくもなし」と、

いう歌があります。

一休さんとして知られる僧、一休宗純が詠んだと言われる歌で、

新しい年を迎えたと言って門松を立ててよろこんでいるけれど、

年をとるということは裏返せば死へ向かっているということで、

めでたいことばかりではない、どうせいつかはみんな冥土へ行くんだぞ、

といったお屠蘇気分に冷や水をぶっかけるような皮肉が、

平成31年と数を同じくする、

この三十一文字(みそひともじ)の中に込められています。

 

天皇陛下の退位が決まって、平成という時代が終わるということを、

頭の中では理解していたつもりでした。

しかし、しみじみとそれを感じたのは

昨年12月23日の平成最後の天皇誕生日での会見で、

陛下のお言葉を聞いた時でした。

「天皇としての旅を終えようとしている今」、

「自らも国民の一人であった皇后が、私の人生の旅に加わり」、

旅という言葉を使ったこれらのお言葉は、

凡百のコピーライターには到底書くことのできない

深く重みのある表現だったと思います。

私のようなものが言うのもおこがましいですが。

 

4月1日に新元号が発表され、

平成31年は、この4月30日をもって終わることが決まっています。

昭和が64年の1月に唐突に終わってしまったことを覚えている人間にとっては、

この平成最後の31年、そのまた最後の4カ月間というのは、

高校から大学に入る時の春休み、自分が何者でもなかった時の

ふわふわした気分を思い出させてくれます。

いよいよリアリティを持って“平成最後の”という枕詞が使われるようになり、

メディアでもこの30年間をまとめるような番組や特集がたくさん組まれ、

平成を見送る熱はどんどん高まっていくことでしょう。

 

そのひとつの到達点は、昨年の大晦日12月31日の、

“平成最後の”「NHK紅白歌合戦」だったのではないでしょうか。

わたしたちは久しぶりにリアルタイムで紅白を観ようと、

風呂にも入り、年越しそばも食べ、万全の態勢で臨みました。

出演順をネットで確認しながら、

前半は全体的に背景の映像やダンサーたちが邪魔で

「画面からあふれる情報量が多い。メインの歌手やその歌声が頭に入ってこない」と

文句を言いながらも、なんだかんだ楽しいお祭り騒ぎとして堪能。

そして楽しみにしていた後半、椎名林檎と宮本浩次のデュエット、

松任谷由実のスペシャルメドレー(バックバンドの豪華さも必見)、

星野源、米津玄師、MISIAの圧巻の流れ。

そして紅組でも白組でもない、

言わば平成のトリとして出てきたサザンオールスターズ、

とそこに堂々と絡んでいった松任谷由実。

平成という時代の忘年会を締めたのは、嵐でもAKBでもなく、

昭和のおじさんとおばさんでした。

しかし、そのおじさんとおばさんは桑田とユーミン。

平成って本当にあったんでしょうか。この30年間はなんだったんでしょうか。

幻だったんじゃないでしょうか。

 

では、最後にわたしも三十一文字。

 

SMAPも安室も出ない紅白で

トリ務めしはサザンとユーミン

 

そしてこのブログを書き終わってから、嵐の活動休止が発表されました。

何もかも終わっていきますね。

 

2019年、平成のうちにユーミン、

次の元号になったらサザンのライブに行きます。