センタクの日々

9月の半ばぐらいから、脱水の時になんとなく怪しげな音をたてているなあ、

と思っていました。

いつ買ったのかは忘れましたが、

我が家の洗濯機は乾燥機のついていない普通の縦型のもので、

メーカーは「National」です。

現在の「Panasonic」に社名が統一されたのが2008年のことだそうですから、

それよりだいぶ前から使っているので、

かれこれ20年近くは汚れ物を洗ってくれているでしょう。

さすがにそろそろ寿命かとも思い、

それなら10月の消費税増税前に新調しようと、

まずは市場調査に近くの家電量販店に出かけてみました。

 

まず1件目A店、あまり下調べもせず行き当たりばったりで出かけた店舗で、

普通の縦型洗濯機、乾燥機付きのドラム式、乾燥機付きの縦型、

のフタを開けたり閉めたりしながら、

あーだこーだ検討しているわたしたち夫婦を「買う意思あり」、と見たのか、

店員さんが寄ってきます。

Tという家電メーカーのジャンパーを着たお兄さんは、

当然T社のドラム式洗濯機を薦めてきます。

セールストークは「このタイプは来月モデルチェンジするので、

旧型を買うなら今がチャンスです」。

モデルチェンジ後の最新型は35万円ぐらいしますが、

この旧型は現品限りで23万円くらい。いや、それでも十分高価ですが。

 

次に買う洗濯機は、

わたしたち夫婦にとって、多分最後の洗濯機になると思います。

これから年老いていくわたしたちに必要な機能は何か、

乾燥機は必須かもしれませんが、わたしは天日干しをしたい。

広い家に住んでいるわけでもないので、干すための階段の上り下りもない。

しかしいつまでも足腰が丈夫ではないかもしれない…。

あれこれと考え始めたら、まったく決められず、とりあえず各社の

パンフレットなどもらって帰宅しました。

 

そして消費税増税前の最後の休日、2件目のB店に赴きました。

こちらはA店よりも品揃えも豊富で、多少の予備知識も蓄えたわたしたちは

P社の法被を着たお兄さんに積極的に話しかけてみました。

洗剤自動投入などの最新機能の説明を一通り聞いた後、

「で、ぶっちゃけ、どこの洗濯機が一番いいの?」と。

お兄さんいわく、「白物家電に限って言えば、うちのP社かH社です」と、

他社をも勧める良心的な答え。

そのお兄さんの発言を意気に感じて、P社の洗濯機を買おう、と決意しました。

しかし、そこで言われました。

“契約や支払いは9月中にできるが、配送が立て込んでて間に合わないので、

配送料などは増税後の消費税が適用される”、と。

なんだか一気にめんどくさくなりました。

そして結論ですが、今も我が家の洗濯機は20年前のNationalのまま、

汚れ物を洗い続けています。

きゅるきゅると言う妙な音もなぜか聞こえなくなったような気がします。

買い替える、という声を聞いて、心を入れ替えてくれたのでしょうか。

モノにも魂は宿ります。

 

それから10月になり、消費税は10%になりました。

現金派だったわたしも、キャッシュレスならポイント還元、のキャンペーンに

つられて、PASMOやPayPayを日常的に使い始めました。

なんとかペイもさまざまありますが、なにを選択すればいいんでしょうか。

そしてたとえ洗濯機が壊れたとしても、

なんとかペイで払って還元してもらえばいいじゃないか、

と思い至っています。

しかし財布の中の現金があまり減らなくなったので、

裕福になったような気がして、逆にムダづかいをしているような気も。

 

そう言えば巨額の申告漏れが発覚したお笑い芸人も、

家電芸人として「アメトーク」なんかに出ていました。

店員風の法被を着て、さまざまな商品をPRし、

おそらくその縁で地方の量販店のCMにも出ていました。

芸能活動は自粛しているようですが、トークはプロなんだから、

売り場に立ったらトップセールスマンになれるでしょう。

わたしは彼からだったら

35万の最新式の洗濯機を買ってしまうかもしれません。

選択の余地はないと思います。