後悔はしたくない

その日は、どうしてもカツが食べたかった。
仕事をしながらも、口の中はすでにカツ。
昼になった瞬間に会社を飛び出し食べに行くはずだった。

けれど、世の中そんなにうまくはいかない。
その日に限って、やる事がなかなか終わらない。
ようやく一段落して会社を出る頃には、14時を過ぎていた。
行こうと思っていたお店のランチ営業は、とっくに終わっている。
さてどうしようと考えながら歩いていると、
道端に「ミラノ風カツレツ」と書いてある看板を見つけた。
カツ食えるじゃん!
「レツ」部分にちょっと引っかかりながらも、いそいそとお店に入った。

席に座って10分ほどで運ばれてきたのは、
予想していたカツとは違うものだった。
やけに薄くて、少し大きめの皿の上に、のっぺりとのっかっている。
そして、肉の上には溶けたチーズがたっぷり。
これにレモンを絞って食べるらしい。(この味付けの仕方がミラノ風?)

食べてみると、当然のことながら美味しい。
自分の求めていた揚げてある肉の味がする。
ただ、どうしても一口食べるごとに
「なんか違うんだよなぁ・・・」という思いが浮かんでしまう。
肉を切る時にフォークを持つ人差し指が痛くなるくらい、
肉が固いからだろうか。
それとも、肉汁をあまり感じられないからか。
結局、コレジャナイ感がぬぐえないまま食べ終えてしまった。

 

調べてみたところ、日本のカツの元になったのがカツレツらしい。
(カツレツの原型はフランス料理のコートレットだそう)
カツの元、つまり元祖さまにたいして
「なんか違う」は失礼だったかもしれない。
その日の気分じゃなかった自分のせいなのに。
カツレツには申し訳ないことをしてしまった。
次は、ちゃんとカツレツの気分の時に食べに行こうと思う。

 

結局、100%求めていたものを選んだほうが満足感が高いのだ。
仕方ない時もあるかもしれないが、できる限り妥協はしないほうがいい。
あとから悔やまなくて済む。
そう、だから今僕の頭の中にある
「新しいiPhone XSが欲しい」という気持ちを止めるわけにはいかない。
ここで妥協してXRにすると、きっと後悔する。
後悔は人生にとって毒だ。
XSを買ったほうが幸せになれるはずなんだ。
確かに、予算はオーバーしているけれども。
めちゃくちゃにオーバーしているけれども。
なんならXRすら厳しいけれども。

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