第96の皿 平成の終わりに、鶏つくね

何を隠そう、社会人デビューが平成のスタートと重なっている。
入社試験を受けたときはまだ昭和だったのだが、
春を待つうちに、元号が切り替わったのだ。
数えなくても勤続年数がわかるのは、すごく便利だった。

 

TVなどで繰り返される平成史は、大きな災害や事件、
ときおり快挙など、実にさまざまな出来事に彩られている。
一方、自分史においては、さしたる起伏もなく歳月を重ねてきた。
まさに「平らかに成る」身の上で、とてもありがたく思っている。

 

新しい元号は「令和」と発表された。
節目の年が、また元年になるのもありがたい。
引き続きキャリアを積み上げ、一歩ずつ前へ進もう。
今回は、残り少ない平成を惜しんで、この料理を。

 

鶏つくね

 

〈つくね〉
鶏ひき肉 500gくらい(もも2:むね1がよい)
やまいも 5cm程度(すりおろす)
卵白 卵2個分
塩 小さじ1/2
酒 大さじ4
水 大さじ4
しょうゆ 大さじ1
おろししょうが 小さじ1
片栗粉 大さじ1
白ごま 大さじ1

 

〈たれ〉
しょうゆ 大さじ2
みりん 大さじ1
酒 大さじ1
砂糖 大さじ2

卵黄 お好みで
七味唐辛子 お好みで
粉山椒 お好みで

 

 1. 〈つくね〉の材料をボウルで混ぜ合わせ、冷蔵庫で1時間寝かせる。

 2. スプーン大の1をフライパンで両面をじっくり焼き、取り出す。

 3. 〈たれ〉の調味料を火に掛け、1を戻して照りが出るまで煮からめる。

 

 

平成の終わりにちなんで、
「平(たい)らに成る」食べ物を選んでみた。
肉だねがゆるめだから、混ぜるのも手を使わずにスプーンでOK。
これを成形せずに焼くので、自然と平らな形になるのだ。

 

人生2回目の元号変わりで、三つの時代を生きるわけだが、
「明治・大正・昭和」を生き抜いた人の重厚感に比べると、
「昭和・平成・令和」の三またぎは、何とも軽やか。
貫禄も身に付くことなく、へらへらと世を渡って行けそうだ。