第94の皿 ポジティブで行こう、納豆オムレツ

けだるい朝に乗り込んだ電車が、特急の通過待ちのためにホームで待機。
そこで、特急通過後に流れた車内アナウンスに感心した。
「信号が変わり次第、発車いたします」というものだが、
乗客がとても前向きに待てる言い方だと気付かされたのだ。

 

よく聞かれるのは「信号が変わるまで、しばらくお待ちください」というアナウンスだが、
この伝え方では、現在強いられている「待つ」という行為が信号が変わらない限り続く、
という事実を再認識させられるだけで、無為に待たされる乗客にとっては、
希望がまったく見いだせない現状だ。

 

一方、前者では「信号はやがて変わる」という小さな希望が提示されていて、
「その暁にはすぐに発車する」という約束までなされている。
信号待ちという事実は同じでも、「変わり次第発車」はとてもポジティブで、
「変わるまで待て」はひたすらネガティブである。

 

コピーライターという人種は、いつもこんなことばかり考えている。
逆説的に恐怖訴求、絶望感をあおるコピーもなくはないが、
いつだって広告の基本はポジティブ。ポジティブは幸せを呼ぶ。
今回は、ポジティブな食材がたくさん入った料理を。

 

 

納豆オムレツ

 

卵 6個
小ねぎ 少々(みじん切り)
海苔 1枚(細かくちぎる)

 

納豆 1〜2パック(お好みで・写真は黒大豆納豆)

 

しょうゆ 小さじ1
白だし 小さじ1
酒 大さじ1
粉チーズ 大さじ1
成分無調整豆乳 大さじ4(牛乳でも)
こしょう 少々

 

(1)ボウルに割り入れた卵と具材、調味料をすべて入れ、箸で混ぜる。

(2)オリーブオイル(分量外)を引いて少し熱したフライパンに1を注ぎ込み、ふたをして弱火で8〜10分ほど熱する。

(3)フライ返しを使って十字に4等分して1片ずつ裏返し、ふたをして弱火で5〜8分熱する。

 

 

ポジティブな気分を高めるのは、脳内神経伝達物質「セロトニン」。
しあわせホルモンとも言われ、抗うつ剤など心の病の治療薬にも、
この物質を増やす働きが含まれているという。
そんなセロトニンを作り出す栄養素が「トリプトファン」である。

 

豆腐・納豆・みそ・しょうゆなどの大豆食品や、
チーズ・牛乳・ヨーグルトなどの乳製品、
そして、バナナや卵などに豊富なトリプトファン。
この栄養素をふんだんに使った料理のひとつが、納豆オムレツだ。

 

今年は、亥年。
前だけを見て突っ込んでいくイノシシに寄せて、
ポジティブな1年になるよう、祈りを込めた。
もう新年とは言い難い、1ヶ月遅れの思いである。