第92の皿 この未熟もの再び、アボカドチップス
野菜なのか? それとも、果物なのか?
まったくもってファンタジーな存在なのが、アボカドである。
「アボガド」と誤記されることが多いので、
文字校正界では初歩的な要注意食材と言える。
果実なのでフルーツの仲間ではあるのだが、
清涼感も酸味も水気もないため、デザート感は一切持ちあわせていない。
初めて知ったのだが、別名を「ワニナシ」というらしい。
横たえたその姿は、確かに鰐の背中そのものである。
この鎧のような見た目こそが、成熟度合いの判断を困難にさせる。
当たりはずれが多過ぎるのだ。
青果界において、こんなに品質が安定しない商品も珍しい。
買って帰って、包丁を入れてみないと、食べ頃かどうかがわからないのである。
何回裏切られても、あのねっとりしたおいしさを求め、
そして、今日もまた裏切られた。青すぎる君よ。
肩を落として、硬い実を見つめるうちに、ひとつのアイデアが浮かんできた。
今回の原稿は「第57の皿:アボカドのパスタ」に続く、別レシピである。
アボカドチップス
アボカド 1個
塩 少々
ブラックペッパー 少々
ドライバジル 少々
カレー粉 少々(お好みで)
1. 未成熟のアボカドを薄くスライスしておく。
2. フライパンにオリーブオイル(分量外)を引き、1をじっくりと炒める。
3. 皿にあけ、香辛料を振り掛ける。
ハズレのアボカドの、まるでじゃがいものような硬さに、
「だったらチップスに出来るじゃん」と気付いたのだ。
そのまま食べたり、細かくしてサラダやパスタのトッピングにしたり。
投手として入団した選手が、打者転向で大成したような転身である。
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