第86の皿 腹が鳴り続ける、ワンタン入り野菜スープ

人は皆、腹時計という、制御出来ない不自由な時計を持っている。
空いたおなかが「グー」と鳴り、食事どきの訪れを訴えるのだ。
ところが、おなかが鳴った時が、常に食事できる時間とは限らない。
たいがいは、鳴り続けるおなかを抱えながら、食事時間を待つことになる。

 

こうして考えると、おなかが鳴った瞬間に食事することができたら、
この上なく幸せなことだろうと思う。
自分で料理を作る場合は、空腹を感じる前から調理を始め、
できた料理の香りを嗅いだ瞬間におなかが鳴るのが理想的だ。

 

ワンタン入り野菜スープ(10人前)

 

白菜 1/4把(ざく切り)
もやし 1袋
にんじん 1本(短冊切り)
しいたけ 1パック(細切り)
きくらげ 少々(熱湯で戻して細切り)
春雨 1袋(100g)(熱湯で戻す)

 

オリーブオイル 大さじ1

 

〈スープ〉
水 2500cc
鶏ガラスープの素 大さじ4
しょうゆ 大さじ4
酒 大さじ3
おろししょうが 小さじ1
こしょう 少々
ごま油 大さじ1
片栗粉 大さじ1(水で溶く)

 

〈ワンタン〉
ワンタンの皮 30枚
豚ひき肉 250g
片栗粉 大さじ1
おろししょうが 小さじ1
塩 少々
しょうゆ 小さじ2

 

  1. フライパンにオリーブオイルを引き、にんじん、しいたけ、白菜、もやしを軽く炒める。
  2. 鍋に水と調味料を入れて味を調えて、ふたをして中火〜とろ火で1時間煮込む。さらにきくらげと春雨を加えて少々煮る。
  3. その日食べる分のワンタンの皮を取り分け、肉だねを包んで鍋に入れ、肉に火が通るまで温める。

 

たっぷりな量が出来るが、このレシピは
2人暮らしの我が家の夕食1週間(5回)分用である。
平日の夜にワンタンを手早く作るコツは、練った肉だねを5つに分け、
この日は食べない4玉をラップで個包装して、冷蔵保存することだ。

 

翌日、チルド室から1回分を取り出して、ワンタンの皮を6枚置き、
6等分した肉だねを1枚ずつ包んで、温めなおす鍋に放り込むだけ。
肉だねを包んでいたラップを調理台代わりにするから、
余計な洗い物を増やさずに済むのも平日向きだ。

 

ワンタンと具だくさんの野菜が入った中華スープの香りは
「立ちのぼる」という表現がピッタリで、猛然と食欲を刺激する。
季節は、まさに食欲の秋。
おなかの中も常に「あき(空き)」で、鳴りっぱなしである。