第82の皿 特集記事に載りそうな冷製カルボナーラ

近所の商店街の裏通りに、「十字街」と呼ばれるエリアがある。
ほんの数年前までは、昭和がそのまま真空パックされたスナック街。
建物・店主・客のすべてが老朽化した結果、
ひとつまたひとつと取り壊しが進み、気が付けば大変なことになっていた。

 

狭い路地裏が、いつの間にか小洒落たエリアと化した。
寿司折りを下げた千鳥足の酔っぱらいが闊歩していた薄暗い通りが、
スマホ片手に若者がお目当ての店を目指して颯爽と歩くストリートに。
街ごとリニューアルしたかの如く、ブレイク直前のスポットに変貌していた。

 

冷製カルボナーラ(2人前)

 

カッペリーニ 200g(0.9mmの極細パスタ)

 

ベーコン 20g(みじん切りに)

〈A〉スープ
水 200ml
白ワイン 大さじ2
粉チーズ 大さじ2
コンソメの素 1個

 

牛乳 or 豆乳 200ml

〈B〉ポーチドエッグ
卵 2個
粗塩 大さじ1
酢 大さじ1

 

  1. フライパンでベーコンを炒め、余分な油を拭き取ってから、〈A〉を煮る。火を止めてから牛乳 or 豆乳を加えて混ぜ、冷蔵庫に入れる。
  2. 〈B〉を作る。沸騰した小鍋に粗塩と酢を加えてから火を弱め、器に割っておいた卵を滑り入れ、広がる卵白を卵黄に掛けるようにまとめていく。卵白が固まったら火を止めて、卵黄が半熟になるまで泳がせ、穴開きのおたまですくっておく。
  3. 塩(分量外)を入れて沸騰させたパスタ鍋でカッペリーニを規定時間ゆで、氷水に取ってパスタを冷し、水気をよく切る。
  4. 3を盛った器に、よく冷やした1を掛け回して2を載せ、黒こしょうと粉チーズ(いずれも分量外)をお好みで振り掛ける。卵の黄身をつぶし、麺に絡めてからいただく。

 

この十字街に最近出来た、イタリア料理店の看板メニューをリスペクトした料理である。
よく利用する「沿線のクーポンチケット」をきっかけに知ったお店なのだが、
所在地が、地図をどう見ても、あの路地裏にある。
あんなエリアにイタリアン!? と訝しみながら訪ねてみたら、
街ごと生まれ変わっていたことに気付いた次第。

 

お店はこれから、きっと多くの雑誌で紹介され、
遠くの街からも客が押し寄せてくるようになるだろう。
たまたま近所に住んでいるのを幸いに、
予約が取りにくくなる前にまた、足を運んでおこうと思う。