第8の皿 非常時のパエリア
カセットコンロを買った。
インドア派の私には無縁の品だったのだが、
防災用として絶対に買っておくべきものと思えてきたからだ。
災害時に最も復旧が早いインフラは電気だそうだが、
それでも6日前後かかると、何かの本で読んだことがある。
温かい食べ物は、力が出る。
被災された方々から多く聞かれる声が、火を通した料理のありがたさである。
あくまでも自宅が大きく損壊しなかった場合を前提としての話だが、
災害時に作れそうな料理を考えておくことは、決して無駄なことではないはずだ。
常備している食材の中から、出来そうなものを検討して、パエリアをやってみようと考えた。
何しろ米料理。お米は、日頃から切らさぬよう、一定量を備蓄してある。
本場バレンシア地方ではうさぎや鶏などの肉と山の幸を使うパエリアだが、
日本人にはムール貝やえびなどの海の幸がたっぷり入った印象が強い。
さて具材だが、魚ながら鶏肉の食感も得られるツナ缶が、まず使える。
また、魚介類として、ほたて水煮缶と干しえびを。
そして、野菜の代わりとして、乾燥わかめを使おう。
かなり和風に傾いているメンバーであるが、
サフランを使って黄色いお米に炊き上げれば、パエリアらしく見えるかもしれない。
ガスも貴重になるので、4人分をまとめて作ろう。
なお、本来のパエリアは生の米を炒めたのち、ふたをせずに炊き上げるのだが、
米に芯が残る失敗を避けるべく、安全策を取る。
米は浸水させ、ふたをして炊き上げる、ピラフの調理法で行くことにする。
非常時のパエリア
米 2合(2時間浸水させ、調理30分前にざるに上げておく)
オリーブオイル 大さじ1
にんにく 1かけ(みじん切り)
たまねぎ 1/2個(みじん切り)
ツナ缶 1缶
ほたて水煮缶 1缶(汁ごと入れる)
干しえび 大さじ1
乾燥わかめ 1つかみ
水 270cc
白ワイン 90cc
コンソメの素 2個(刻む)
サフラン 1つまみ(白ワインに漬け、色を出しておく)
パプリカパウダー 少々
ローリエ 2枚
ドライパセリ 少々
レモン果汁 お好みで
他、残っていた野菜
- フライパンにオリーブオイルを熱し、にんにく、たまねぎの順に炒め、しんなりしたら米を入れて色が透き通るまで炒め、パプリカパウダーを振る。
- 白ワインとサフラン、水を入れ、米が同じ高さになるよう均してから、缶詰の中身と干しえび、乾燥わかめとコンソメの素、ローリエを載せて塩・こしょうを軽く振り、ふたをして強火で加熱する。
- 沸騰したら弱火に落とし、15分煮続ける。火を止めて、ふたをしたまま15分ほど蒸らす。
- ドライパセリとレモン果汁(お好みで)を振り掛ける。
「非常時」という割には食材が多いが、
お米と水、ツナ缶さえあれば、それなりのものが出来るはず。
コンソメの素を顆粒のだしの素に変えれば、炊き込みごはんも可能だ。
このパエリアを盛るために、紙のお皿を用意しておこう。
平時にはもったいない紙皿だが、断水時にはかなり役立つはずである。
“プロのためのスーパー”だと安くまとめ買い出来るので、備蓄をおすすめしたい。
我が社の近くにあるお店では、地階のいちばん奥にある。