第74の皿 鉄分多めで、小松菜と油揚げの煮びたし

この連載の第39の皿で「料理は、趣味とは思っていない」と書いた(料理は「家事」)。
では「趣味は何か」と問われたら、自信を持って返す答えは、ない。
趣味の枕詞として、よく「三度の飯より好きな」と表現されるが、
正直な話、三度の飯より好きなものなど、ないのである。

 

強いて挙げれば、鉄道はちょっと好きだ。
小さいころ、家に「プラレール」というおもちゃがあった。
鉄道が好きだからプラレールを買ってもらったのか、
プラレールを買ってもらったから鉄道が好きになったのかは、わからない。

 

しかし、鉄道好きの子どもが憧れる「運転」には、まったく興味がなかった。
さりとて、電車のデザインにも興味は向かず、
「乗り鉄」にも「撮り鉄」にも、ならなかった。

 

興味を持ったのは、鉄道の「システム」だった。
路線図マップや駅名表示板、電車の行き先が書かれた「方向幕」など。
幼少時にいちばん好きだった駅の構造物は、

 

こんどの電車は
[(手前の駅名)]
を出ました

 

というホームの表示板。
電車が近づくと[   ]にランプが点灯する。
小さいマッチ箱と豆電球でこの表示板を手作りするほど、
好きだったのである。

 

小松菜と油揚げの煮びたし

 

小松菜 1把(ざく切り)
油揚げ 1枚(刻む)
しめじ 1パック

 

水 100cc
和風だしの素(顆粒) スティック1本

 

  1. フライパンで刻んだ油揚げを軽く焼き目が付くまで熱しておく。
  2. 無水調理できる鍋に小松菜の茎を入れてその上に葉を載せ、しめじ、水とだしの素を入れ、ふたをして中〜弱火で10分煮る。

 

小松菜の鉄分は、ほうれん草の2倍以上(ゆでた場合)。
鉄分の吸収を助けるビタミンCも、ほうれん草を上回るとか。
ほうれん草は、シュウ酸が含まれるためにアク抜きが必要で、ゆでると鉄分は減少する。
アク抜きの必要のない小松菜は、下ごしらえが不要で、
栄養も上回り、いいことずくめの食材である。

 

今月の話題に合わせて、料理の方も”鉄分多め”でお届けしてみた。