第69の皿 串に刺さずに、焼き鳥煮

昔、住んでいた地域にある商店街に、
禁断の並び方をした2つのお店があった。
小鳥屋の隣に、焼き鳥屋があったのである。

 

焼き鳥屋と言っても、居酒屋などの店舗ではなく、持ち帰り専門店。
だから、開け放された店頭でひたすら鶏を焼いているのである。
一方、小鳥屋は、これまたどこの小鳥屋でもそうであるように、
店先にたくさんの鳥かごを吊り、展示販売をしていた。

 

充満する焼き鳥の香りの中で、元気よくさえずる小鳥たち。
どちらの店にも決してプラスにはならない、最悪の環境である。
インコや文鳥が焼き鳥の原材料であるわけはないのだが、
両店の前を通ると、どこか後ろめたい・・・。
ごく普通の商店街にあって、その空間だけには、
絶えず静かな緊張感が漂っていた。

 

焼き鳥煮

 

鶏もも肉 200g(一口大に切る)

 

しょうゆ 大さじ2
みりん 大さじ1
酒 大さじ1
砂糖 大さじ2

 

七味唐辛子 お好みで

 

  1. フライパンに、一口大に切った鶏肉を皮目から並べて弱火に掛け、焼き色が付くくらいまで炙り、取り出しておく。
  2. 1のフライパンに調味料を入れて火に掛け、砂糖が溶けたら1を戻し、照りが出るまで火を通す。お好みで七味を掛けていただく。

 

焼き鳥の味を、串に刺さずに簡単に味わえる家庭料理ならではのレシピである。
昔、人気のあった「焼き鳥缶」のリアル調理版とも言える。
筒切りにした長ねぎを一緒に焼き、ごはんに載せると焼き鳥丼として楽しめる。
串が要らないから、お弁当のおかずにもおすすめだ。

 

鳥を扱う両店の仲は、どうだったのだろうか?
業務提携してセット割なんか始められたら、それはそれでイヤである。