第68の皿 祈りを込めて、卵ときくらげと豚肉のしょうゆ炒め

熊本地震で被災された皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。

 

全国を旅してうまいものを食べる機会の多いプロレスラーが、
楽しみな遠征先としてこぞって名前を挙げるのが熊本だそうである。
熊本ラーメン、からし蓮根、一文字のぐるぐる、
太平燕(春雨のちゃんぽん)、阿蘇のあか牛、馬刺し。
意外なところでは、ふりかけの発祥地でもあるのだとか。

 

これらの名物をはじめ、現地の豊富な食材が東京にいながら手に入るのが、
数寄屋橋交差点のすぐそばにある、県営のアンテナショップ「銀座熊本館」だ。
ここには、熊本・人吉産の質のいい乾燥きくらげが置いてあるため、
定期的に買い物に訪れている。

 

震災直後に、せめて買い物で復興支援をと出向いてみたが、
同じ志を持つ善男善女が、すでに列をなしていた。
あまりにも時間がかかりそうだったので、この日の買い物はあきらめたが、
客足が落ち着いたら、いろいろなものを買い込もうと思っている。

 

スープや炒めものに重宝するきくらげは「あるとうれしい」が、
裏を返せば「なくても困らない」とも言える、脇役的食材。
だが、ここに紹介するメニューは、
「ないと寂しい」という、きくらげありきの一品である。

 

卵ときくらげと豚肉のしょうゆ炒め

 

豚小間切れ肉 100g
乾燥きくらげ 10g程度(熱湯で戻し、刻む)
卵 3個(溶いておく)
長ねぎ 1/2本(下半分・みじん切り)
にら 1/2束(4cm幅に切る)

 

油 大さじ3
にんにく 1かけ(みじん切り)
おろししょうが 少々
しょうゆ 大さじ1.5
オイスターソース 小さじ1
酒 大さじ2
鶏ガラスープの素 小さじ1(酒で溶く)
ごま油 少々

 

  1. 豚肉に塩、こしょう(分量外)を振っておく。
  2. たっぷりの油をフライパンに引き、溶き卵を入れて大きく混ぜる。半熟くらいになったら取り出しておく。
  3. フライパンに残った油でにんにく、しょうが、長ねぎを香りが出るまで炒めたら豚肉を入れ、よく火が通ったらきくらげ、にらを加え少し炒める。
  4. しょうゆ、オイスターソース、酒で溶いた鶏ガラスープの素を加え、味がなじんだら2を戻し、炒め合わせる。香り付けに、ごま油少々を入れる。

 

国産のきくらげは、とても肉厚で弾力があり、食感がよい。
外国産のものの数倍の値段だが、それ以上の価値があるので、ぜひ試してほしい。
また、きくらげの旬は夏だが、そのわずかな時季には生のきくらげも販売される。
湯で戻す必要のない生のものは歯応えも抜群で、こちらもおすすめである。

 

震災から半月ほどして、銀座熊本館で順番を待たずに買い物をすることができた。
日頃のきくらげのお礼も込めて、ささやかな額だが募金箱に収めてきた。
併設の熊本県東京事務所を通じて、ダイレクトに県に届くので安心である。
一日も早い復興を祈ってやまない。