第67の皿 引率者の気分で、クラムチャウダー

活あさりを買って来て、砂抜きをした。
パックに詰められ、仮死状態になっていた「あさり」たちは、
塩水を薄く張ったトレイの上に開け放たれて、にわかに元気を取り戻す。
思い思いに伸びをして、ピュッと水を吐くリラックス振りは、
長時間揺られたバスを降りて、旅館の大部屋に通された修学旅行生のよう。

 

あさりが吐き飛ばす水で床が濡れて来たので、新聞紙でトレイを覆う。
しばらくして、新聞紙をめくってそっと覗いて見ると、
吐き飛ばしていた水がピタリと止まり、急いで身を引っ込めて殻に戻ったりする。
枕投げをやめ、あわてて布団に潜り込んだ生徒たちを見るようで、
気分はほとんど、修学旅行の夜に大部屋を見回る引率者である。

 

もう、このまま飼ってしまおうかと思うほど愛着が湧いてきたが、
心を鬼にして生徒たちを風呂に入れ、引率者としての役割を終えた。
もともとの目的は、クラムチャウダーだったのだ。

 

クラムチャウダー(10皿分)

 

活あさり 2〜3パック

 

ベーコン 2枚(短冊切り)
じゃがいも 2個(1cmに角切り)
にんじん 1本(1cmに角切り)
セロリ 1〜2本(1cmに角切り)
長ねぎ 白い部分のみ1〜2本(斜め切り)
ホワイトマッシュルーム 1パック(スライス)

 

オリーブオイル 大さじ2

 

水 800cc
コンソメの素 2個
塩 小さじ1/2
白こしょう 少々(多めに振る)

 

薄力粉 大さじ2
豆乳 800cc(牛乳でも)

 

ドライパセリ 少々

 

  1. 砂抜きをしたあさりをゆで、貝殻から身を外しておく。
  2. フライパンでベーコン、にんじん、セロリ、しめじを炒めて鍋に移す。
  3. 鍋に1のゆで汁とコンソメの素、塩、こしょうを加え、とろ火で1時間煮る。
  4. じゃがいも、長ねぎ、マッシュルームと薄力粉を炒め、鍋に移す。
  5. 豆乳を半量入れて、とろ火で15分煮る。
  6. あさりと豆乳残り半量を追加して、軽く温める。

 

あさりの旬は、ちょうど今ごろ。
たっぷりと身が太っていて、食べごたえも十分だ。

 

かわいい生徒たちが浸かった残り湯は、極上のスープとなった。
この春、あさりを引率する機会が増えそうである。