第59の皿 庶民の知恵で、焼き飯

炒飯と焼き飯。
「地域によって呼び名が変わるだけで、基本的に同じ物」
という説もあるが、個人的にはまったくの別物だと思っている。

 

炒飯は、基本的にはプロの料理である。
おたまと中華鍋、ガスバーナーの強い火力で作るお店の炒飯は、
家庭料理とは比べ物にならないおいしさだ。

 

焼き飯は、家庭料理である。
関西の粉もの文化を発祥とするらしく、
余ったごはんをどうやっておいしく食べるかということから始まった料理。
メニューとして掲げているお店もあるが、
大衆食堂や居酒屋など、アットホームなお店が多い。

 

両者の違いは、調理法にも現れている。
卵とごはんをほぼ同時に入れて強火で一気に仕上げる炒飯は、
プロが作る超絶品から、素人が作る目の覚めるような激マズまで、さまざま。
一方の焼き飯は、誰が作っても、そこそこうまい。
卵を入れる前にごはんを炒め切るので、常に火がしっかり入るからだ。

 

焼き飯(2人前)

 

ごはん 1合

 

豚バラ肉 250gのうち50g(短冊切り)※200gは別の料理に
ピーマン 1個(1cm角)
たまねぎ 1/2個(みじん切り)
卵 2個(溶いておく)

 

油 大さじ1
しょうゆ 大さじ2
黒こしょう 少々

 

  1. フライパンに油を引き、たまねぎ、ピーマンの順に炒め、取り出しておく。
  2. フライパンに豚肉を入れてよく炒め、脂を残して豚肉を取り出す。
  3. 豚肉の脂を残したフライパンにごはんを入れ、焦げ目が付くくらいまで炒める。しょうゆ大さじ1を加えてさらに炒め、1と豚肉50g分を戻して混ぜ合わせる。
  4. ごはんを端に寄せ、空いたスペースに油を引き、溶き卵を入れて半熟くらいになったらごはんを載せ、卵をほぐすように混ぜる。卵に火が通ったらしょうゆ大さじ1を回し入れ、こしょうを振って味を調える。

 

ごはんをサクサクしたおいしさに仕上げるには、
豚の脂から抽出したラードを使うのが望ましい。
だが、ラードをわざわざ買ってきて常備するのも、健康的観点から抵抗がある。
そこで編み出したのが、多めの豚バラ肉をまとめて炒めて、脂を抽出する作戦だ。
焼き飯で使う以外の大半の肉は、野菜炒めなどに流用するのである。

 

焦げたごはんとしょうゆの香ばしいおいしさに、
スプーンを口に運ぶ手が止まらない。
夏の休日の昼ごはんにぴったりの、食欲全開メニューである。