第53の皿 あのスープの謎、塩らーめん

通常のレシピでは、絶対に辿りつけない味がある。
袋入りインスタントラーメンは、その代表的なものだと思う。
みそ・塩・しょうゆと、品揃えこそお店のメニューと同じだが、
両者の味は、およそかけ離れたものである。

 

料理をするようになって、インスタント食品の利用が激減したが、
時折、この味が無性に食べたくなる。
もちろん、生麺仕様など現代風の本格派ではなく、
かつて「即席ラーメン」と呼ばれていた昔ながらのタイプで、
それも断然、塩である。

 

小鍋に湯を沸かし、銀色の小さなアルミ袋を破って、
麺とともにスープの素を投入する。
たちまち広がる独特の香りが、猛然と食欲に火を点ける。
塩味は、お店のスープとの違いが特に激しい。
ラーメンの中では透明度No.1のはずなのに、
即席は丼の底が見えないほどだ。

 

後年、あの黄色みがかったスープの正体を知った。
まさか・・・だったとは。
道理で、やみつきになるわけである。
今回は、あの「らーめん」を手作りしてみた。

 

塩らーめん

 

生中華麺 1玉

 

〈スープ〉
ごま油 大さじ1/2
鶏ガラスープの素 小さじ1
コンソメの素 1/2個(刻む)
カレー粉 小さじ1/8
塩 小さじ1/2

 

季節のお野菜(白菜・しいたけ・にんじんなど) お好みで

熱湯 400cc
白こしょう 少々
白ごま 大さじ1(乾煎りしてから、包丁で刻む)

 

  1. 刻んだ野菜を炒めておく(あるいは、麺とともにゆでてもよい)。
  2. 丼にスープの調味料を入れ、熱湯を注いでおく。
  3. 中華麺を鍋でゆでる。
  4. 湯切りした麺を丼に空け、1を載せて白こしょうとごまを振る。

 

さる料理漫画に「中毒になるあのスープのヒミツはカレー粉」とあり、
この情報をヒントに、あの味に迫ってみた。
結果として、かなり再現出来たのではないだろうか。

 

もうひとつの味の決め手は、白ごまである。
透明な小袋に入っていた「切り胡麻」は、
みそ味にもしょうゆ味にも添えられていなかった独自のもの。
一般的にラーメンのトッピングとしてあり得ないものだが、
あの香ばしさも独特の個性を作り出していたと思う。

 

やっぱり、この味が「一番」である。