第48の皿 ベランダで味わう枝豆

昨年の夏の原稿(第35の皿・コーンサラダの回)でも少し書いたが、
週末は引きこもりなので、基本的に外出することはない。
暑い時季なら、なおさらである。
そんな夏の数少ない楽しみのひとつが、ベランダから眺める花火大会だ。

 

タワーではないマンションの、たかだか6階からのささやかな眺めだが、
家から一歩も出ずにタダ見できるのだから文句は言えない。
花火大会特有の人いきれを味わわずに済むだけでも、儲け物である。

 

隣の区が主催する大会なので、会場は決して近くはない。
遠くに見えるビルとビルの間から、
高く打ち上がった大玉だけが奇跡的に見えるのだ。
低い空で花開く連発系の小玉は、建物に遮られて音しか伝わってこない。
そんな状況だから、低空のターンでは、ひたすら水分補給に専念する。
お供はもちろん、枝豆である。

 

枝豆

 

枝豆 300g
塩 大さじ2〜3
水 大さじ2

 

  1. 軽く洗った枝豆に大さじ1杯分の塩をすり込み、1時間置いておく。
  2. 調理前に再度水で洗い(水は切らない)、無水調理できる鍋に入れて水大さじ2を振り掛け、ふた(ガラス製)をして中火に掛ける。ふたの内側に付く水滴が流れ落ちるようになったら弱火に落とし、ふたをしたままお好みの固さにゆでる(5分前後)。
  3. ざるにあけて塩を振る。

 

たっぷり沸かしたお湯でゆでるのもよいが、
無水調理できる鍋で蒸しゆでにする方法を紹介した。
豆本来のうまみが流出しないので、おいしさも格別だ。

 

夜空を焦がす大輪の花が散るたびに、
この一瞬のために精魂込めた花火師たちの苦労を思う。
手間ひまかけて腕を振るっても、食べるのは一瞬。
ふと気付いた花火と料理の共通項に「もののあはれ」を感じながら、
終わりつつある夏の風情を堪能した。