第43の皿 コスパの正体、鶏そぼろの炊き込みごはん

京都の話はまだ続く。
2月の大雪をかいくぐってホテルに辿り着いた旅行初日は、
晩ごはんをどうしようか考える気力がなかった。
そこで、ホテルフロントのコンシェルジュに
「おすすめの懐石料理店」を紹介してもらった。
いわく「ものすごくコスパがよい店」らしい。

 

予約を取って訪ねたお店Aは、祇園の目抜き通りからは少々外れており、
教えてもらっていなければ、なかなか辿り着けない場所にある。
このお店が、大当たりだった。
懐石だから値段は決して安くはないのだが、東京で同じものを食べたら
一体いくら取られるのか見当も付かないので、その意味では安いとも言える。
そんな店が、街の外れで普通に営業をしている。
古都の底力を見せつけられた思いだ。

 

これが、コンシェルジュさんの言うコスパなのかと感心していたが、
本当の意味は、後日別の場所で知ることになる。
数日後に、祇園近くの目抜き通りにある、老舗の懐石料理店Bに行った。
そこでの料理ももちろん悪くはなかったが、
京都初日の晩と滞在数日後の差はあるにせよ、
正直なところ、A店で受けたような感動はなかった。

 

両店でほとんど変わらなかったのは、値段である。
満足度にかなりの差があるのに、金額は一緒。
おそらく、祇園に間近い目抜き通りのB店には、
多分に「祇園価格」が含まれている。
支払った代金のうち、含まれる場所代の比重が高いのは間違いなくB店。
つまり、街外れのA店は場所代の上乗せが少なくて済む分、
素材にお金が掛けられているはずなわけで、
これがコスパの正体だと気づかされたのだった。

 

今回の料理は、A店の懐石の最後に出て来た「ごはん」を真似てみた。

 

鶏そぼろの炊き込みごはん

 

鶏ひき肉 約25g
白だし 小さじ1
みりん 小さじ1
酒 小さじ2

 

ごぼう 少々(ささがきにする)
にんじん 少々(ささがきにする)
まいたけ 少々
ごま油 少々
白だし 少々

 

米 1.5合
水 270cc(マイナス大さじ2)

 

白だし 大さじ2
酒 大さじ1
白ごま 大さじ1

 

  1. フライパンでひき肉をじっくり炒め、調味料を合わせてから取り出しておく。
  2. フライパンにごま油を少量引き、ごぼう、にんじん、まいたけを炒め、白だしで味付ける。
  3. 研いで1〜2時間浸水させた米に、白だしと酒を入れて混ぜ、1・2と白ごまを載せて炊飯器で炊く。

 

今回得た教訓は「選ぶなら、辺鄙な場所にあるお店」。
そんな場所で営業を続けていられる店は、
足繁く通う客に支えられている店に違いないからだ。
A店は、いつかまた訪れたい店である。