第39の皿 趣味じゃないから、切り干し大根と油揚げの煮物

「週末は何してるんですか」と問われると
「料理をしています」と答えるものだから、
「料理が趣味なんですね」と返ってくる。
確かにそうかもしれないが、それは違うかも、と返事をためらう。
趣味というものは、もっと楽しんでやるものだと思うからだ。

 

週末の料理が趣味というのなら、カレンダーを睨みながら指折り数えて待ち、
それこそ前の晩には料理道具一式を枕元に置いて寝る、
というくらいの勢いが欲しいが、
残念ながら、そこまでの想いは持ち合わせていない。
週末が待ち遠しいのは否定しないが、それは働かなくてよいのがうれしいだけで、
決して料理に取り組めるのがうれしいわけではないのだ。

 

だいたい、休日に料理をするのだって、
平日にやる時間がないから、まとめてやっているだけのことである。
そう考えているうちに、気が付いた。
自分にとっての料理は、趣味ではなく、家事なのだ。
冒頭のやり取りでの違和感は、
「週末は掃除や洗濯をします」と言ったら、
「掃除や洗濯が趣味なんですね」と返されたような気分だったのだ。

 

きれいな部屋は好ましいが、掃除はちっとも楽しくない。
洗い立ての服は気持ちがいいが、洗濯するのは面白くない。
それと同じで、手作りのおいしいものを食べるのが好きなだけであって、
作ること自体が楽しいわけではないのだ。

 

日ごろ料理をまったくしない男性が、休日に限って、そばを打つ。
たまの休みにクッキーなどを焼き、きれいにラッピングして友だちにふるまう。
これらのケースなら、趣味と呼んで差し支えないだろう。
趣味でする料理は、日々食べるものではないので、
気合いが入っていて派手である。

 

片や、家事の料理は日々のお惣菜だから、気合いの入りようがなく地味である。
たとえば、このメニューのように。

 

切り干し大根と油揚げの煮物

 

切り干し大根 40g(水で戻す)
にんじん 1/2本(千切り)
しいたけ 2枚(細切り)
油揚げ 1枚(短冊切り)

 

ごま油 少々
だしつゆの素(3倍希釈) 大さじ2
酒 大さじ2
みりん 大さじ2
砂糖 大さじ1
水 2カップ(400cc)

 

  1. 2カップ分の水を張ったざる付きのボウルに切り干し大根を入れ、30分浸けて戻し、ざるを上げる(水は捨てない)。
  2. フライパンにごま油を引き、にんじんをしっかり炒め、しいたけ、油揚げ、水気を絞った切り干し大根を軽く炒める。
  3. だしつゆの素、酒、みりん、砂糖、大根の戻し汁を加え、クッキングペーパーで落としぶたをして、弱火で30分煮る。

 

週末の料理作りは、ずっと続く。
趣味だったら、いずれ飽きて卒業する日も来ようが、
家事なのだから、飽きたからもうやらない、というものではないからだ。