第36の皿 損得抜きに、夏野菜のピラフ

週末の帰宅時、最寄り駅にあるスーパーTでとうもろこしを物色する。
1本、198円。
この価格はかなり高いのだが、とうもろこしは、そろそろ旬が終わる時季。
現に、駅と家の中間にあるもうひとつのスーパーSでは、店頭からその姿が消えて久しい。
今年はもう最後かもしれないと思い、3本購入して店を出る。

 

ところが、その後に立ち寄ったスーパーSでは、とうもろこしが1本99円で売られていた。
最盛期の安さでまさかの復活、これは痛恨である。
そのうえ、よく太っていて、スーパーTよりこちらの方が状態もよさそう。
発作的に3本を手に取り、買い物かごに入れた。

 

とうもろこしは、合計6本。
スーパーTの3本は、@198×3=計594円。
スーパーSの3本は、@99×3=計297円。
合計すると、6本で891円だから、1本の平均購入単価は148.5円になる。
つまり、1本198円の高値でつかんでしまった失敗を、
安くなったものを買い増すことで、少しだけリカバリーしたのである。

 

株の世界ではこの買い方を、「ナンピン買い」というらしい。
もちろん、最初から底値である99円で買えていれば大勝利なのであるが、
そんな「たられば」の話をしても仕方がない。
あくまで、高値で掴んでしまったことから始まった話だからである。

 

季節最後のとうもろこしは、他の夏野菜とともに、ピラフを楽しむことにした。

 

夏野菜のピラフ(2人前)

 

〈A〉
ツナ缶 小1缶
枝豆 1つかみ程度(ゆでてさやから出し薄皮をむく)
とうもろこし 1/2本(包丁で実をこそげる)

 

〈B〉
たまねぎ 1/2個(みじん切り)
にんじん 1/2本(みじん切り)
パプリカ or ピーマン 1個(みじん切り)
しいたけ 2枚(みじん切り)

 

米 2合
水 270cc
白ワイン 90cc
コンソメの素 2個(包丁で刻む)
オリーブオイル 大さじ2
ローリエ 2枚
白こしょう 少々
ドライパセリ 少々

 

  1. 鍋にオリーブオイルを引き、みじん切りにした〈B〉を1種類ずつ炒め、取り出しておく。
  2. 米(研いで2時間水に浸してからザルに揚げ、30分以上置いたもの)を鍋に入れ、外側が透き通るまで軽く炒める。
  3. 水と白ワインを入れ、米が同じ高さになるよう均してから、1と〈A〉、コンソメの素、ローリエを載せて、ふたをする。中〜強火に掛け、沸騰手前になったらとろ火に落として14分炊き、火を止めて15分蒸らす。
  4. ローリエを取り出し、白こしょうを振ってしゃもじで混ぜ、盛りつけたらドライパセリを振る。

 

通常のピラフはバターを使うが、オリーブオイルでも十分おいしい。
むしろ夏野菜には、あっさりしていてバターより合うんじゃないかと思う。

 

株のナンピン買いの利点は、売り抜けるまでの時間が短くなること。
とうもろこしの値段にたとえるなら、初めに買った198円まで値を戻すのを待つことなく、
148.5円まで値上がりすれば利益が出るようになるのである。

 

株式の売却で利益を得ることを「利食い」という。
ナンピン買いで得た大量のとうもろこしのほとんどは、
まとめてゆでてから実をこそげ、小分けにして冷凍に回した。
そして、旬からいちばん遠くなった時季に解凍して、
炊き込みごはんやサラダ、スープなどで「利食い」するつもりだ。