第32の皿 みんなが主役の八宝菜

先日、同窓会に参加して来た。
懐かしい顔に長い歳月をまぶした、まあ歳相応に見える人がほとんどだったが、
遙かに年齢を上回る貫禄を蓄えた人や、
その逆に当時の制服を着せたくなるくらい顔も体型も変わらない人も中にはいて、
これが全員同い年なわけだから、生命の神秘を見る思いである。

会の参加者は皆、「いい顔」をしていた。

全員が笑顔でいられる会合というのは、そう多くはあるまい。
「皆が笑顔」という集まりは、結婚式などもそうなのだが、
あれは、主役の2人を皆が祝う、という図式であって、
全員が心からの笑顔かというと、実はそうでもない。
寿ぐ気持ちはあるにしても、義理で参加した人もいるだろうし、
主役である新郎新婦もやることが多すぎて、100%幸せに浸れるわけではない。

同窓会は、参加者全員が平等な立場である。

ある意味、全員が主役とも言える。
顔を見るうちに思い出したニックネームで呼び合うと、
時間が一気に学生時代にまで遡る。
変わり果てたと思っていた同級生たちも、だんだんあの頃の顔に戻って見えてくる。
まるで魔法にかかったような、不思議な数時間だった。

さて今回は、食材みんなが主役の料理ということで、八宝菜である。

皿の中にさまざまな食材がひしめきあって、まるで1クラスのようではないか。

八宝菜

白菜 1/4把(ざく切り)

にんじん 1/2本(短冊切り)
しいたけ 1パック(細切り)
グリーンアスパラ 1束(4cm幅くらいに)

豚小間切れ肉 100g

むきえび 1パック
いか(胴の部分) 1杯(2×5cm幅に)
かまぼこ 小1本(半月状か細切り)

たけのこ水煮 1/2本(スライス)

うずら卵水煮 6個
ぎんなん水煮 25粒くらい
ヤングコーン水煮 1パック(縦に2分割)
乾燥きくらげ 少々(熱湯で戻す)

サラダ油 大さじ3

にんにく 2かけ(みじん切り)
おろししょうが 少々
酒 大さじ2
鶏ガラスープの素 大さじ1
ほたて貝柱水煮缶 1缶(汁ごと入れる)
塩 少々
こしょう 少々
片栗粉 大さじ1(水大さじ3で溶く)

  1. 豚肉、えび、いかに酒と塩、こしょう(いずれも分量外)を振り、片栗粉をまぶす。
  2. フライパンで豚肉を炒め、取り出しておく。
  3. サラダ油を加えてにんにく、しょうがを香りが出るまで熱し、刻んだ野菜を炒める。
  4. 3に火が通ったら、残りの食材と、酒と鶏ガラスープの素、ほたて貝柱水煮缶を入れて味をなじませる。
  5. 全体にしんなりしたら、塩、こしょうで味を調え、最後に水溶き片栗粉を回し入れる。

勉強のできる子やピアノが弾ける子、
運動会のヒーローや習字のうまい子など、
さまざまな個性が集まって、1クラス。

やわらかなものや歯触りのいいもの、
苦みのあるものや食べ応えのあるものなど、
みんなが持ち味を出し合って、八宝菜。

それぞれが輝きを持った、まさに「宝」の集団である。