第27の皿 風邪の日のヨーグルト和えフルーツサラダ

風邪をこじらせて、5日間も寝込んだ。
家人が仕事に出かけ、部屋にただひとり。
薬を飲んで、ひたすら寝続けるだけの日々。
大人の風邪は、面白くもなんともない。

 

一方、子どもの頃の風邪は、エンタメだった。
寒い日に外に出ずに済むのもさることながら、
「何か食べたいものはないか」と問われることが、いちばんの醍醐味だ。
この瞬間こそが「風邪で学校を休んだ子ども」に訪れるクライマックスである。

 

本当は、体調が万全の時にこそ、ぜひとも問われたいものだが、
体調が最悪の時でなければ得られない言葉なのだから仕方がない。
高熱があり、のども腫れ、食欲がほとんど湧かない状況だ。
平時ならば選択に30分は悩んでいられそうな命題だが、
この体調でも食べたいと思えるものは、ごく限られる。

 

私の答えは必ず「もも」だった。
風邪で寝込むのはたいがい冬だから、生食は時季外れ。
当然、缶詰なのだが、たとえ生の桃が手に入っても、
ここは「缶詰の白桃」であろう。
冷たくて、のどごしがよくて、当たり外れがなく確実に甘い。
まさに「キング・オブ・風邪引きのための食べ物」である。

 

ふとんにもぐったまま、うつぶせになって白桃を食べながら、
『ベルトクイズQ&Q』など、普段見ることのできない「平日のお昼のテレビ」を楽しむ。
食べたいものを問うてもらえるのも、母親が自宅にいる専業主婦だったからであろう。
今は遠い、昭和の時代のお話である。

 

そんな思い出を胸に、今回はフルーツの缶詰を使った1品を。
かつて、学校給食によく出て来た、近頃ではデパ地下などでもおなじみの、
あのサラダである。

 

ヨーグルト和えフルーツサラダ

 

フルーツミックス缶 1缶
干しぶどう 少々

 

プレーンヨーグルト 大さじ6
マヨネーズ 大さじ3
レモン果汁 少々
白こしょう 少々

 

  1. キッチンペーパーを敷いたざるの上にヨーグルトを入れ、水を切る。
    フルーツ缶も中身を取り出し、水気をよく切っておく。
  2. ボウルに調味料を入れ、ヨーグルトとよく混ぜてから、
    フルーツと干しぶどうを入れて和える。

 

フルーツミックス缶の中身に「みかん」が入っていない場合は、
小さめの「みかん缶」もぜひ加えたい。
また、バナナ、キウイ、りんごなど生のフルーツを加えてもよい。
ただ、すぐに食べ切らないのなら、缶詰のみの方がよいかもしれない。

 

和えてから一晩置くと、干しぶどうが戻されて、
ぷっくりと半生状態となっておいしさがアップする。
ヨーグルトさえあれば、あとは缶詰や調味料など常備できる食材ばかり。
それこそ、風邪で寝込んだ大人でも調理できる手軽さである。