第24の皿 昼下がりのガスパチョ

夏の盛り、ゆるやかで長い坂の途中にある店に、汗だくで辿り着く。
出迎えてくれるのは、ほんのりピンクがかった赤色の冷たいスープ。
窓辺の席から、さっきまで自分を灼き焦がしていた陽炎を眺めながら、
木陰のように薄暗い店内で、とびきり清涼なのどごしを味わう至福の時間があった。

 

この季節が来るといつも思い出すのは、
以前、ハムライスの回(昨年10月掲載の「第13の皿」)で紹介した、
「スペイン領の島の名が付いたレストラン」のガスパチョだ。
灼熱の太陽が照りつける、情熱の国スペイン生まれの冷製スープ。

 

トマト、きゅうり、パプリカなど、主な食材が出盛るのは夏。
だから、この時季のスーパーの野菜コーナーは、
まるでガスパチョ売り場であるかのよう。
旬ならではのお値打ち価格でズラリと顔を揃えて、
買い物客に「ひと夏の誘惑」をしてくるから、
こちらもついついその気に・・・というわけだ。

 

ガスパチョ(ミニカップ8杯分)

 

トマト 4個
ミニトマト 1パック
パプリカ 3個
きゅうり 1本
たまねぎ 1/2個
にんにく 小1かけ
食パン 2枚(耳は除く)

 

オリーブオイル 大さじ4
冷水 50〜100cc(トマトの水分により調整する)
レモン果汁 大さじ1
白ワインビネガー 小さじ1
パプリカパウダー 大さじ1〜2
チリパウダー 小さじ1
塩 少々
こしょう 少々
ドライパセリ 少々

 

  1. 野菜をざく切りにして、調味料とともにフードプロセッサーにかける(数回に分けて)。
  2. 1を鍋に移し、味見しながら水を適量加え、塩、こしょうで味を調える。
  3. 冷蔵庫に入れ、完全に冷やす。

 

かのレストランから教わったわけではない、まったくの自己流レシピだが、
飲めばあの店の味を懐かしく思い出せるくらいにはなったと思う。
味を決めるのは、ミニトマトの甘みと、チリパウダーのスパイシーな風味。

 

加熱せずに味わうスープなので、塩はしっかり利かせたい。
温かなスープに比べるとやや塩分は多くなるが、
冷たいスープがおいしい季節は、汗をたっぷりかくから、塩分も不足しがち。
食べ物の旬とは、本当によく出来ていると思うのである。