第21の皿 種に注意、アボカドの炊き込みごはん

2つに割ったアボカドから半分露出した種を、
包丁の刃の根元にカツッと刺して、スッと外す。
料理番組でよく見られるこのテクニックは、クッキングビギナーの私には、
たまらなく魅力的に映っていた。
「切る」という本来の機能以外に包丁を使うのが、とても格好よく見えたのだ。

 

そこで、ある土曜日の昼下がりに、さっそく試してみた。
種を刺してみると、思いのほか刃が深く食い込んで、抜けない。
仕方なく、種を握って抜こうとしたが、アボカドの種は、よくすべる。
いつもと違う作業を強いられた包丁が反乱を起こしたのか、
包丁は本来の機能を、我が指に対して遺憾なく発揮してくれたのだ。

 

救急病院が家の前にあるのは、こんな時に大変便利だ。
結局、左手親指の側面を、8針縫ってもらうことになった。
それからというもの、2年間にわたりトラウマが残り、アボカドを買えなかった。
ようやく克服したが、種はどんなに果肉が崩れようとスプーンで外すことにしている。

 

包丁の扱い方はいまだに下手だが、
アボカドを買わなかった2年の間に料理の腕は少しだけ進化したので、
アボカド解禁とともに、関連メニューがどんどん増えた。
そんなアボカド料理のひとつ、なんと炊き込みごはんである。

 

アボカドの炊き込みごはん(4膳分)

 

アボカド 1個(半分に割って横1cm幅にスライス)
松の実 大さじ1

 

乾ししいたけスライス 5g
だし昆布 5cm角
水 360cc

 

米 2合
しょうゆ 大さじ1

 

オリーブオイル お好みで

 

  1. 小さめの鍋で米を研ぎ、水360ccとしょうゆを注いでよくかき混ぜてから、乾ししいたけとだし昆布を載せ、1〜2時間浸水させる。
  2. だし昆布を除き、スライスしたアボカドを載せ、松の実を入れてふたをする。
  3. 中火に掛け、沸騰したら弱火にして14分加熱。火を止めて15分蒸らしてから混ぜ合わせ、盛り付ける。

 

この1品は、とある洋食店の看板メニューとして、
住んでいる沿線のミニコミ誌に紹介されていたもの。
記事にあった写真の見た目だけで判断して、勝手な味付けで再現したものだ。
鍋で炊くからおこげが出来て、それもまたうまかった。

 

主にパスタやサラダの具として活躍するアボカドだが、
炊き込みごはんという和のメニューにも合うことがわかり、
汎用性の高さに驚かされた。
また、アボカドをごはんと一緒に炊き込んでみようと発想した人にも、脱帽である。