第16の皿 ゴーヤの代わりではなく、ピーマンチャンプルー

さて、冬も真っ盛りである。
冬には冬のおいしいものがたくさんあるが、時折ふっと、
いちばん遠い時季の食べ物が頭をよぎることがある。
当たり前だが「久しく食べていないなあ」と恋しくなるのだ。

 

旬のものは安くておいしいので、店頭に並んでいるうちに集中的に食べ続ける。
ゴーヤが出回る夏にしか作れないゴーヤチャンプルーなどは最たる物で、
暑い季節にしか味わえない、文字通り夏の風物詩となっていた。
だが、よくよく考えれば他の食材は、豆腐、豚肉、卵など、通年売られているものばかり。
これ、ゴーヤの代わりさえあれば、夏じゃなくてもいけるのではないか。

 

そこで、目を付けたのが、ピーマンである。
もちろん、ピーマンも夏から秋口が旬なのだが、
ハウス栽培で「冬春ピーマン」という種類が作られている。
高知県や宮崎県など、南の地方が主な産地で、
そのおかげで1年中ピーマンが店頭に並ぶというわけだ。
ピーマンはナス科、ゴーヤはウリ科なので
両者からそれぞれ「同じに見るな」と苦情が来るかもしれないが、
色といい苦みといい、これほどゴーヤの代役として似合うものはない、と思ったのだ。

 

ピーマンチャンプルー

 

ピーマン 8個(縦方向に細切り)
木綿豆腐 2丁(しっかり水切りをしておく)
卵 2個
豚こま切れ肉 100g
きくらげ 1つかみ

 

オリーブオイル 大さじ2
酒 大さじ2
鶏ガラスープの素 小さじ1
しょうゆ 小さじ1
白こしょう 少々
ごま油 少々

 

  1. オリーブオイルを引いたフライパンで豆腐を炒め、両面に焼き色が付いたら一旦取り出す。
  2. 豚肉を炒め、火が通ったら一旦取り出す。
  3. ピーマンを入れ、皮に焼き色が付くまで炒める。
  4. 酒で溶いた鶏ガラスープの素を絡め、豆腐と豚肉をフライパンに戻し、きくらげを入れる。
  5. 卵を全体に回し入れ、半熟状になったらしょうゆと白こしょう、ごま油で味を調える。

 

実際、食べてみると、ゴーヤの代役と決めつけたことをつくづく反省する。
ことに、露地物が出回る夏のピーマンは、ともに旬を迎えたゴーヤにも負けない。
2010年などは日照不足でゴーヤが小ぶりだったため、
夏のチャンプルーもピーマンには大いに助けられたものだ。

 

このピーマンチャンプルーに、カラーピーマンやパプリカを加えると、
彩りもあざやかで目にも楽しい。
どんより曇った冬の日の食卓にも、
夏の太陽を思わせるまばゆさである。