3の日々

長梅雨が明けたと思ったら、酷暑。

各地で最高気温の記録を更新するような日々が続き、

来年のオリンピックはどうなるんだ、

そもそも夏の高校野球も時期を改めた方がいいんじゃないのか、

とかなんとか言ってるうちに、オリンピックのチケットのはずれた人救済の

二次募集にエントリーしたり、甲子園の履正社の優勝を見届けていたら、

なんとなく気温も落ち着いてきて、蜩なんかも鳴きはじめ、秋の気配。

結局、夏も終わっていくんだなあ、と毎年思います。

 

「涼しい午前のうちに宿題を済ませてしまいましょう」。

小学生の頃に1か月半もあった夏休みは、特にどこかに連れていってもらわなくても、

毎日いくらでもやることがあって、そこらじゅうを飛びまわっていました。

今のように朝から気温が30℃を超えるなんてこともなかったので、

午前中にちょっと宿題に手をつければ、

お昼にそうめんを食べてから、午後は自由時間。

学校のプールや近所の夏祭りに出かけたりしているうちに、

あっという間に2学期を迎えていました。

 

自分の年齢を3で割ると、今、人生なら何時頃にいるのかがわかる、

という遊びがあります。

たとえば夏休みの小学6年生12歳÷3は4、

午前中どころかまだラジオ体操も始まらない午前4時です。

目覚めてもいないので、1日はたっぷりあります。うらやましい限り。

 

この夏は長い夏休みを取って遠出することもなく、

ちょこちょこと細切れに休んでは、相変わらずどこかの劇場や映画館、

ライブ会場に出かけていました。

ちなみに2019 年8月の個人的ベストパフォーマンスは、

中野サンプラザの山下達郎と、歌舞伎座の八月納涼歌舞伎第二部「東海道中膝栗毛」です。

高い交通費を使わなくてもさまざまなエンタメをライブで観られるという、

都会にいるメリットのひとつを、

気力と体力と経済力が続く限り活用しようと考えているので、

有料の衛星放送チャンネルや動画配信サイトには加入していません。

これ以上、さまざまなコンテンツに触れるには、もう時間が足りない、目が足りないから。

 

なのに、今まで禁じていたNetflixやWOWOWが、

この夏、あの手この手で「課金しろ」と手招きしてきます。

Netflixのオリジナルドラマ「全裸監督」が観たいです。

ドラマの舞台は1980年代のAV業界。

主役の村西とおるを演じるのは、若手実力派から、

今や怪優と呼べるくらい風格も凄みも増した山田孝之。

AV界の革命児と呼ばれた村西とおるが世に現れた頃のことはよく覚えています。

ビデオメーカー・クリスタル映像を立ち上げて、

数々の名作?や奇作と呼ばれるAVを監督。

なかでも当時国立大学生だった黒木香をAVに出演させたことは、

彼女の個性的なキャラクターとも相まって、大いに話題になりました。

誰かが持っていた彼女のビデオテープを、

誰かのアパートで何人かで観たことを覚えています。

テープもデッキも高価で、当時誰もが持っていたというわけではありませんでしたから。

そんな彼の風雲録が映像化されていて、評判も高い、となれば、

いよいよNetflixにも入らなければばらないか、と思っています。

ビデオデッキの普及に一役買ったのが全裸のAV監督だとしたら、

Netflixの普及に貢献するのも「全裸監督」。

それはなかなか“ナイスですね”なことだと思いますが。

 

80年代、当時のわたしの年齢を3で割っても、それはまだまだ午前中でした。

そして現在のわたしはもはや人生の夕暮れ時。

太陽が輝く時間は終わっていて、そろそろ晩ごはんでも食べようかなあ、という頃です。

まあ、そう思うと少し寂しい気もします。

そんな夏の終わりの夕暮れ時、夏休みの宿題に「全裸監督」の感想文でも書きますか。