部活の日々

9月になってしまいましたが、激残暑お見舞い申し上げます。
オリンピックも甲子園も終わり、新学期もはじまったというのに、
また暑さがぶり返しています。
それはさっき朝ごはんを食べたのに「私はまだ何も食べさせてもらってない」と言い張り、
再び食事の用意をさせる恍惚の方にも似ています。
一度夏が来たことを忘れている…。
地球が呆けてきたのでしょうか。

 

あまりの暑さに出歩いてもいられず、涼を求めて映画館に入りました。
「桐島、部活やめるってよ」。タイトルも秀逸ですが、内容も。
原作は未読ですが、映画に関して、ネタバレを避けて言えば、
とある高校を舞台にした“中2病vsリア充、しかし決着はつかず”、
といった感じでしょうか。

 

バーチャルがなかった時代には「リア充」ということばはありませんでした。
リアル、しかなかったから。

 

そういう時代の高校生だった自分にもわかる、
高校時代という特別な季節が、それこそリアルに描かれていました。
不勉強だから知らないだけかもしれませんが、
広告ポスターにもなっている神木隆之介以外はほぼ無名の若い役者たち。
しかしすべての登場人物がもう、「ああ、こんなヤツいたわ」。
バドミントン部、パーマ、キャプテン、映画部、助監督、美人、など
役名なんか覚えなくても説明しやすくキャラ立ちしている。
性別は関係なく、その性格にうなずける。
自分もかつてはその中の誰かだったことを思い出させてくれる。

 

体育館の裏、渡り廊下、放課後、屋上、運動場、購買部、教室の後ろ、坂道…。
スクリーンの中の高校生はもちろんケータイでしゃべり、メールを送っているけれど。
スクリーンの中の季節は初冬だったけれど。
自分は女子高だったけれど。
自分は部活なんてやってなかったけれど。
確かに高校生活、という夏の時代があったことを思い出させてくれました。

 

厳しい残暑で今年の夏はまだ終わりそうにありません。
しかしそれでもいつかは秋になり、冬がやってきます。
ゴッサムシティの続編もヒーロー大集合の3D大作も
獣から生まれたこどもたちのアニメも、
それなりに楽しんだけれど、
後になってもじわじわと思い出すのは、桐島のことだったりします。
いくつになっても覚えている夏の日があるように。

 

機会があったら映画館で観てください。
そして少し話しましょう。ネタバレ部分についても。
まんまとどこかを刺激されたので、
今月、自分が卒業した高校に行ってみようと思っています。
文化祭があるんです。何十年ぶりでしょうか。
それが今年の夏の自由研究の課題です。
そうして夏が終わる予定です。