桜の日々

前回このコピーブログを更新したのが3月11日金曜日の午前中でした。
そしてその午後には、日本が一変しました。

 

ビルの8階にあるオフィスで体験した尋常じゃない揺れ、
ネクタイを締めて、ハイヒールを履いて、
ヘルメットをかぶった人があふれていた日比谷公園、
つながらない携帯電話やメール、
続く余震、動かない電車、錯綜する情報、
都外の自宅まで歩いて帰るとオフィスを出ていった背中、
パソコンに向かって作業を続けていた横顔、
会議室で深夜までいっしょに過ごしたあまり喋ったことのなかった後輩、
午前3時過ぎの薄暗い赤坂見附の駅のホーム、
明け方たどり着いた自宅に散乱した衣類や本、
あの日自分が体験した、いくつもの一生忘れられないこと。

 

でもそんなの全然大したことじゃなかった。
語弊はあるかもしれないけど、ちょっとした避難訓練でしかなかった。
もう、なのか、まだ、なのかわからないけれど、
あれから1カ月。
日にちが経つにつれ、毎日状況が明らかになるにつれ、
被災という言葉や
刻々と変わる数字や
聞いたことのない専門用語や
わけのわからない単位を何度も耳にするにつれ、
何を言っても薄っぺらい気がして、情けないほどとまどい、途方に暮れている。

 

他にくらべようもないくらいの恐怖や不安や悲しみを抱えられた方には
ただただお祈りするしかできないし、
現地で日夜さまざまな救助、支援、復興活動に従事している方には
敬意を表することしかできない。
そしてその上で、いま何ができるのか。
幸いなことに自分には節約できる電気もあるし、
歩いても帰れる家もある、
仕事もできるし、募金箱に入れられる幾ばくかもある。
まだまだ余震というには大きすぎる揺れも続くし、
目に見えない放射能にも怯えるばかり。
それでも、
とにかくおなかに力を入れて日々を丁寧に暮らしていくしかないと思っている。

 

東京では桜もピークを迎えました。
今年の開花は例年よりも少し遅かったということです。
自然の猛威に打ちのめされた日本にも、美しい桜の季節はやってきます。
今年ほど強い気持ちでこの花を眺める年もないかもしれません。
そして何年かかるか想像もできませんが、ほんとうの春が来ることを心から願います。

 

と、書いてはいるものの
やっぱり毎日すごくビビっています。
カミサマ的な人がいるなら、「お願いします、日本にもうこれ以上のいろいろは勘弁してください」。
気持ちも耐震構造にできるといいのに。