朝の日々

この4月から、家を出る前の朝のルーティンが少し変わりました。
顔を洗ったり、朝食を食べたり、といった合間に
時刻や天気予報を確かめるのにつけていたテレビのチャンネルは
MCが岸部シローだろうが、峰竜太だろうが、大和田獏だろうが、みのもんただろうが、
薬丸だろうが、小倉だろうが、加藤浩次だろうが(以下略)、
ずっとずっと民放でした。
しかし、高校の時の「なっちゃんの写真館」以来に、NHKに合わせる習慣がついたのです。
そうです、「あまちゃん」です。宮藤官九郎です。

 

長年しみこんだ習慣は容易には動かせず、しばらくはテリー伊藤に合わせたままで、
途中で気がついて敗北感を味わったりしていましたが、
やっとからだになじみました。
毎日、母のような気持ちで主人公のアキをとりまく物語を見ています。
そうです、アキの母、春子役の小泉今日子の目線です。
いろいろおこがましいのは承知の上ですが、
ほぼ同世代のKYON2が、
都会に疲れ、娘を連れて田舎に戻ってきたやさぐれた母親役なんですから、
共感するなという方が無理です。もともとやさぐれるのは得意な方です。
もう自分は主人公(青春時代)ではないけれど、
母親(家族)との確執もいろいろあるけれど、
まだ杉本哲太(自分に憧れてくれている高校の同級生)もいるようだし、
何より娘(自分自身を投影できて、もしかしたらできなかったことをやってくれるかもしれない存在)は
元気でかわいいし、とまあ、
アラフォーというか、美魔女というか、
雑誌「VERY」世代をどっぷり共感させてくれるわけですよ。

 

そもそもタイトルからして秀逸な「あまちゃん」、
もともと彼の書くドラマは見習うべきネーミングセンスにもあふれているわけで。
今のところ個人的には片桐はいり演じる海女の役名 “あんべちゃん”に尽きますが、
小泉今日子が勤めるお店の名前が“梨明日(リアス)”とか、
古くは「木更津キャッツアイ」の“モー子”、
「池袋ウエストゲートパーク」の“キング”、
「タイガー&ドラゴン」の“チビT”など、
なんか現実にいそうでいない、しかし自分のまわりの誰かにつけたくなる、
滋味にあふれたネーミングなわけです。

 

録画して何度も見たくなる小ネタ満載、
大人計画の役者はもちろん、渡辺えりや木野花や、電気グルーブまで、
小劇場やサブカルがNHKの朝を席巻している、
しかも視聴率もいい、クドカン恐るべし。
「じぇじぇじぇ」は流行語大賞になるかもしれないし、
そんなにおいしくなさそうな郷土料理まめぶにも俄然興味が沸くし、
アキとユイちゃんのアイドルVS構造はどうなるのか、
いやそもそも小泉今日子とアキの新旧アイドル対決の行方は?、
「アウトレイジ ビヨンド」であんなに強面だった塩見三省が琥珀堀りののん気なおじさん、
しかしいつか突然キレて人を殺すんじゃないかとか、
今後の展開に興味がつきません。
そして設定されている時間軸からして、
宮城県出身の宮藤官九郎が震災をどう描くのか、とにかく興味がつきません。

 

先ごろ芸能界を引退することを発表した
“ツッパることが男のたったひとつの勲章だった”嶋大輔は、
毎朝「あまちゃん」を見ているでしょうか。
銀蠅一家で同じ釜の飯を食った “紅麗威甦”だった杉本哲太や、
厚木のツッパリだった(と言われている)小泉今日子の活躍を見ているでしょうか。
政治家に転身するらしいとも言われていますが、
もし当選した暁にはぜひとも北三陸の町おこしに力を貸してほしいものです。
甘ちゃんだったなあ、と後悔することになるかもしれないですが。