新しい日々

前回、大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』を猛プッシュしたら、

出演者のピエール瀧が捕まってしまいました。なんかすいませんでした。

主人公の金栗四三を支える足袋屋の主人という、重要な役で出ていたのに。

これからもたくさんの出番があって、

なんでもストックホルムオリンピックから帰ってきた四三は,

足袋屋の2階に下宿する予定だったとかなんとか。

結局、彼が一番”とつけむにゃあ”男だったようです、残念な意味で。

代役も大人計画の役者であり、

グループ魂のドラムでもある三宅弘城に決まったようですが、

やはり今まで撮りためている幻のピエール瀧編が観たいです。

そしてその昔、

これとまったく似たような気持ちになったことがあるのを思い出しました。

 

それは奇しくも1990年、今まさに終わろうとしている平成が、

始まったばかりの平成2年のことでした。

昭和の大物俳優が、今回のピエール瀧と同じような罪状で、

マスコミに取沙汰されたのです。

それは勝新こと、勝新太郎という人なんですが、

彼については「勝新、パンツ、逮捕」などのワードで検索してみてください。

何冊も本が書けるほどの情報があります。

ピエール瀧が、『いだてん~東京オリムピック噺~』の出演シーンを

幻にしてしまったように、

この時の勝新は、大手ビールメーカーのCM1年分をふいにしました。

映画にもなった「蒲田行進曲」などの著者、直木賞作家でもある

演出家つかこうへいが手がけたCMは、1年間続くドラマ仕立てで、

放映前から話題でした。

当時、つかこうへいのファンであったわたしは、

このCMを大いに楽しみにしていました。

しかし勝新の起こした事件のせいで、

既に1年分撮りためていたCMはわずか1回放映されただけで、お蔵入りに。

わたしは今でもこのCMシリーズが、どうしても見たい。

動画サイトでさまざまな過去の作品、

なんなら自分が生まれる前の映像ですら見られる時代になっても、

どこをどう検索しても「ラ党の人々。」とタイトルのついた、

この映像は見ることがかないません。

 

2019年5月から始まる、平成の次の元号が「令和」に決まりました。

出典は万葉集だそうですが、響きも美しく、頭文字がRで始まる、というのも

次世代感があって、とてもいいと思います。

わたしも、

これでどうやら昭和・平成・令和の三代を生きていくことになりそうですが、

なんだか一気に年をとった気がします。

子どもの頃、明治生まれの人っておばあちゃんだったじゃん、と思います。

平成最後のコピペはこれで終わりますが、

きっとこれからもいつまでも昭和の話を続けます。

平成の方を長く生きてしまいましたが、

わたしは確実に昭和の人間です。

 

そして、まだ4月が残っているのに、

急に「令和」のことをもてはやし始めた世間に嫉妬するように、

「平成」はショーケンこと萩原健一まで、

向こうに連れて行ってしまいました。

「平成」が、“オレひとりでは終わりたくない”と、

ラストスパートをかけているような気さえします。

ショーケンも、勝新と同じように、

私生活の騒動ばかりがクローズアップされがちですが、

両者とも本当に魅力的な俳優で、

芸能史に残るいくつもの名作に出演しています。

とりあえず、勝新は「座頭市」のシリーズを、

ショーケンは「前略おふくろ様」をおすすめします、

ライブ映像もぜひ見てください。

 

勝新太郎も萩原健一も、事件を起こした後も、

本人の実力と人気で、芸能人としての復帰を果たしています。

ピエール瀧の今後がどうなるのかはわかりませんが、

代わりのきかない、必要とされる仕事についているとしたら、

うらやましく思います。

 

新元号も決まり、新年度も始まりました。

新人のみなさんも、そして旧人のわたしたちも、

自分にしかできない仕事が見つかるといいと思います。

新しい時代もどうぞよろしくお願いします。