干支の日々

明けました。平成30年。過去と未来をつなぐいつもと同じ1年なのに、
平成30年と言われると、節目という感じがして、
ちょっとした意味を持たせたくなります。
何かを始めるとか、または終わらせるとか、区切りの年にしたくなります。
そして1年後には元号も変わる、ということで、
わたしも、昭和、平成、そしてこのままいけば
その先の何かを生きて行くことになりそうです。息災でありたいものです。
年頭にそんなことを思いました。

 

今年の干支は戌。十二支の中でも十一番目の動物イヌで、
東京オリンピックの開催される2020年には子・丑・寅…の子、
最初のネズミ年から始まります。
その頃にはまた、何かの区切りにしたくなるような、
スタート感が生まれているのでしょうか。

 

干支を何となく意識したのは大学生の時でした。
当時バイトをしていた珠算教室(時代を感じますが)で、
小学生の生徒を前に雑談をしていたら、
悪ガキ風の男児になぜか「先生、何どしー?」と聞かれ、素直に答えたら、
奇しくもその子と同じ干支でした。
ちょうどひと回り12歳年下の子がいる、という事実は新鮮で、
自分も年をとったなあ、と思ったものです。まだ二十歳だったのに。

 

次に意識したのは、多分昭和の終わりぐらいの頃のことで、
その頃知り合いだった2つか3つぐらい年上のお姉さんに、
“今日はこれからディスコにナンパされに行く、年齢は2つぐらいサバを読む。
干支を聞かれるかもしれないから、念のため、あなたの干支を教えてくれ”、
と言われたときです。
ディスコにナンパ(これも時代です)しにくるような男は
干支なんか聞かないんじゃないの?、と思いましたが、
黙って自分の干支を教えました。その後、ナンパされたかどうかは知りません。

 

この正月休みに映画を観ました。
「オリエント急行殺人事件」、1974年に映画化された作品のリメイクです。
原作はアガサ・クリスティのミステリー、
その斬新なストーリーや意外な犯人で、
過去に何度も映像化されている名作です。
映画館の暗がりの中にいると、ついうとうとしてしまって、
気付いたときにはもうストーリーが
追えなくなっていたりすることもありますが、
筋も犯人も知っているこの作品を、まどろみながらも心地よく観ました。
若い頃に観た作品を、年をとってから観ると、
また違った発見があったりするものです。
長じて、文化的な背景が少しでもわかるようになってくると、
漫然と眺めていたものが、突然意味を持ってきたりします。
名探偵ポワロはベルギー人なので、フランス語を話すんです。
昔の映画を観たときは、字幕を追うのが精一杯だったのに、
二カ国語をしゃべっていることがわかる。
ヨーロッパの地理がわかれば、イスタンブールからカレーまで行く
ということの距離感や大変さがわかる。
こんな時、年をとるのも案外悪くないと思ったりします。

 

遠い昔、珠算教室で12歳年下だった少年も、
今や立派なおじさんになっていることでしょう。
わたしも本当に年をとってしまい、
社内にもひと回りどころかふた回り年下の同僚もいて、
そのうちそれ以上の年齢差の人と机を並べることになるのかもしれません。
ちなみにわたしの干支は十二支の中で、一番かわいい動物です。
少なくとも自分ではそう思っています。

 

十二支とは関係ありませんが、
「オリエント急行殺人事件」には主要な登場人物が12人います。
とてもよくできているので、興味のある方は旧作か新作を観るか、
できれば小説を読んでみてください。
今年もよろしくお願いします。
わたしの灰色の脳細胞はだいぶ衰えてきましたが。


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