メンテナンスの日々

年越しそばを食べたのは、ついこの前のことだと思っていたのに、
もう冷やし中華の季節です。
毎年おいしい冷やし中華を求めて街をさまよっていますが、
これ、という一品にはそう出会うことがありません。
仕方がないので、市販の冷やし中華麺を買ってきて、自作したりもするのですが、
薄焼き卵を何枚も焼いて錦糸卵をつくって冷ましたり、
わざわざハムや胡瓜を買ってきて細かく刻んだり、
茹でた麺を冷水にさらしてしめたり、
といった細かい労力の割には、食べ終わるのはあっという間。
食事としての派手さにも欠けるので、
満足感よりも徒労感の方が勝ったりもします。
そんな理不尽な食べ物を愛してやまないのは、
なぜか自身の人生とも似ています。

 

そうです、あっと言う間に7月に入り、2017年も折り返し。
多分わたし自身の人生は折り返しているはずなので、
あと何回、年越しそばを、冷やし中華を、食べられるのかと考えたら、
一食たりともおろそかにできないと思うのです。

 

食事がガソリンだとしたら、美容院や整体に行くことはメンテナンス。
若い頃は、いわゆる、おしゃれやモテ、のために通っていた美容院が、
いつからか修理の様相を帯びています。
鬢のあたりにうっすらと伸びてきた白髪が気になり出したら、
早々にピットインしなければなりません。
年をとると、サーキットを走り続けるためにはそれなりの経費もかかります。
たとえ、それが周回遅れだったとしても。

 

そんな時の流れに身をまかせているうちに、
テレサ・テンの亡くなった年もとっくに追い越し、
美容院の鏡の前に置かれる雑誌も変わりました。
ざっくり言うと、「anan」「non-no」の時代から、
「JJ」や「CanCam」になり、「25ans」や「ELLE JAPON」「SPUR」,
変化球として「オレンジページ」や「レタスクラブ」などもはさみ、
「VERY」「STORY」、そして「クロワッサン」へ、
この先は「家庭画報」や「婦人画報」へシフトしていくのでしょうか。
こうして並べて見ると、わたしたちの世代は女性誌とともに生きてきた世代。
大げさに言えばわたしたちの加齢とともに、
新しい雑誌が創刊されていったように思います。

 

大学生の頃、「anan」の特集に触発されて刈り上げにしていたことは、
今となってはかなりの黒歴史ですが、黒歴史あってこその青春。
その時の写真は今も待ち受けにして、自分を戒めています。嘘ですが。
Instagram やYou Tubeからあっという間に流行りが生まれる今となっては、
信じられないかもしれませんが、
読者が雑誌の発売日を心待ちにし、
そこから流行や文化が生まれていた時代があったのです。

 

かつてのオリーブ少女も、今やオリーブおばさん。
わたしたち世代が定年を迎える頃には、どんな女性誌が生まれるでしょうか。
その女性誌はどんな特集を組むでしょうか。
そもそも雑誌は生き残っているでしょうか。

 

さて、今月もそろそろメンテナンスに行ってきます。