ポタリングの日々

何年ぐらい前からでしょうか。
通学はともかく、通勤にも自転車が利用されるようになって、
スーツ姿でペダルを漕ぐサラリーマンの姿も珍しくなくなったのは。
もうブームでも何でもなく、
タイヤの細い高級そうな自転車が
オフィス街のそこかしこでがっちりと施錠されているのも当たり前の光景になりました。

 

2年ぐらい前に久しぶりに自転車を買いました。
何十万円もするロードバイクにまたがっている人から見れば、
子どもの三輪車レベルの小さな折りたたみ自転車です。
数えてみれば東京に住みはじめてから3台目、
過去の2台は引っ越しやら何やらでどこでどうなっているのか記憶もありません。
もちろん2台ともシティサイクルともいう、ママチャリでした。

 

しかし、というか、やはり、というか、久しぶりに乗ってみると、これが結構楽しい。
多摩川沿いのサイクリングロードを初めて走った時の、風を切る感じ。
わずかな勾配を立ち漕ぎで登る時の、汗ばむ感じ。
高校の時の自転車通学を思い出します。
かわらのみっちをじってんしゃでー、はっしる君を追いかーけたー♪
鼻歌はいつもスピッツです。
当然、ヘルメットを装着して前傾姿勢でシャーシャー走っているロードレーサーには
どんどん追い抜かれていきます。
それでも陽気がよくて、調子もよければ、
自宅からの往復で30kmぐらいは走れることもあり、
いつもだらだらごろごろぶよぶよしている自分的には大冒険です。
おかげで近所の公園に詳しくなり、多磨霊園から武蔵野公園、野川公園を通って、
武蔵野の森公園で調布飛行場に離着陸する飛行機を眺めるルートは
もう何度となく行ったり来たりしています。

 

年齢のせいでしょうか、時代でしょうか。
少し前まではあまり興味のなかった自然とか緑とか、そういうものに目が向くようになりました。
エコとか、ロハスとか、の裏には、不景気とか、デフレとかも見え隠れしますが
自身がこういう過ごし方、暮らし方に喜びや意義を見出すとは思ってもいませんでした。

 

調子に乗って、去年のG.W.にはサイクリストあこがれの「しまなみ海道」を、
瀬戸内の風に吹かれて走ってきました。
しかしアップダウンがきつく、体力不足&ヘボい折りたたみ自転車では難行ではありました。
それでも橋の上から眺めるきらきら光る海や点在する島並みに、
しんどさを補って余りあるだけの爽快感をもらえました。おすすめです。

 

自転車で気ままにぶらぶらすること、
いわば自転車での散歩、のことを「ポタリング」というそうです。
空気は汚さないし、交通費はかからないし、運動不足解消にも、と
自転車のメリットは数々言い尽くされています。
都内では震災の際の帰宅困難時に売れたものとして、スニーカーや自転車も挙げられていました。
それがきっかけで自転車に目覚めたという話も耳にします。
今度自転車を買う機会があったら、
ロードバイクよりは電動アシスト付きかも、とも思う、軟弱な自転車乗りではありますが、
天気のいい週末は近所を走ることを続けようと思います。ポタポタと。