ハロウィンの日々

10月も後半の週末、家の近所を散歩していたら
魔女のとんがり帽をかぶったり、ジャックオランタンのかぼちゃをぶら下げたり、
まったく関係のない戦隊もののお面やベルトをつけて
見えない敵と戦ったりしている、子どもたちの集団を見かけました。
「Trick or Treat」、
10月31日がハロウィンであることが日本にも定着したのはいつからなんでしょう。
しかし、昭和生まれの自分はもうひとつ馴染めないのも正直な話。
ちびっ子がはしゃいでるのは微笑ましいけど、
いい大人が浮かれてるのは、と苦笑い。
イベントごとが年々しゃらくさく思えるのは、老化なんでしょうか。
いかんいかん。

 

私にとってのハロウィンは、ジョン・カーペンター監督の「ハロウィン」です。
中学か高校の時に田舎の映画館で観ました。
ググったら1978年公開だそうです。
何かと二本立てだったと記憶しています。
そして最初の目的だったのは「ハロウィン」じゃない方。
しかしそれが何の映画だったのかは全く覚えていません。
ハロウィンの日に現われるブギーマンの恐怖に
すべてが吹っ飛んだことだけを覚えています。
しばらくは教室でもその話ばかりし、無闇に人に薦め、煙たがられていました。
今でこそ監督の名前で映画を観たりもしますが、
当時の何の情報も持たない田舎の学生にはただただ恐ろしく、
ハロウィン=
アメリカのどっかのポーチがあって家の前が芝生になっている住宅街を
マスクをかぶった殺人鬼が獲物を捜して徘徊している、
という刷り込みをされました。
「お菓子をくれなきゃ、いたずらするぞ」、そんな無邪気なイベントではないのです。
ただの陽気なコスプレイベントではないのです。

 

ネイルサロンのおねーさん(もちろん年下ですが)にも
「ハロウィンとかどうするんですかー?」と当然のように尋ねられました。
「いえ、どうもしませんけど。逆にどうかするの?」と質問返しです。
何かするのがデフォルトなんでしょうか。
「ブギーマンに襲われるかもしれないので、その日は家から一歩も出ないんですよ」と
答えたら、主人公のマイケルのように病院に入れられたかもしれません。

 

自分でもやっておいて何ですが、ネイルはもちろん、
つけまつげやウィッグなどが常態化していると、
コスプレに対するハードルも低くなるのかもしれません。
ハロウィンの普及との因果関係、あるでしょうか。

 

ハロウィンが終わったら、街はもうクリスマスのディスプレイ。
それからカウントダウンに、お正月、
そしたら次はバレンタイン、新入社員、花見、ゴールデンウィーク…、
ああ、イベントに動かされている、翻弄されている。
しかし広告の仕事をしていると、
イベントのおかげでメシが食えるのだと実感もする。
もう2013年じゃないか。この前「ハロウィン」を観たばっかりじゃなかったのか。
年月に対する遠近感がおかしくなっている。
年賀状つくらなきゃ、来年のコスプレの準備しなくちゃ。