あの頃の日々

あれからぼくたちは何かを信じてこれたかな♪
あの頃の未来にぼくらは立っているのかな♪
名曲ですよ、スガシカオ作詞。

 

もう夜空ノムコウ側を結構遠くまで来てしまったような気がします。
「あー、やっぱり海鮮丼じゃなくて、生姜焼きセットにすればよかった」という
昼ごはんの選択ミスレベルから、
「あの人と結婚していれば今頃は……」の人生こんなはずじゃなかったレベルまで。
後悔することはそれこそ夜空の星の数ほどありますが、
とりあえず今、あの頃の自分に言ってやりたいことがあります。
「なぜ楽器のひとつも弾けるようにしておかなかったのか」と。

 

思春期にバンドブームの洗礼を受けた時、
Fのコードで挫折しなかった男子は
いつしかギターケースを背負って地元の安いスタジオで練習の日々。
小学校の頃いやいやピアノを習っていた女子は
キーボード担当として重宝がられいくつかのグループを掛け持ち。
Fどころかギターとベースの違いさえよくわからず、
鍵盤は猫踏んじゃった♪の1小節しか弾けなかった女子は
ただただ変なエネルギーを持て余し、
髪の毛を逆立て妙なメイクで誰かの真似をした、
アマチュアバンドのボーカルに夢中になったりしていただけでした。
自分ですが。
つい先日レイトショーで「たまの映画」という映画を観て、
何か強烈に“あの頃”のことを思い出し、記憶の扉が開きました。

 

映画はというと、
TBS系の深夜番組『三宅裕司のいかすバンド天国』(通称/イカ天)出演をきっかけに、
1990年メジャーデビューした4人組(結成時は)のバンド「たま」を追った
ドキュメンタリーとも言えない、ライブの記録映像でもない、
まあ不思議な、それこそ「たま」らしい作品でありました。
彼らの独特の音楽性については、興味がある方は動画サイトなどでご覧になってください。
好きな人にはたまらん世界です。
(しかし今さらながら、本当に便利な世の中になったもので。
「マルコシアスバンプ」とのグランドイカ天キング争いがネットで見られるとは…)
本当に久しぶりにスクリーンの中で彼らの現在の姿を見て、
とにかく何かゆるぎないものがある、
ブレない感じって、強い、と、つくづく思いました。

 

「のだめ」にしろ「けいおん!」にしろ、
自分で楽器を演奏したい!という欲求は誰にも眠っているんだろうなあと思います。
だからストーリーになるし、ドラマになるんでしょう。
目覚めさせるか、否か、で、大げさにいえばその後の人生が変わったりもしますが。

 

これからでも遅くはないでしょうか。楽器の習得。
あの頃の楽器店で「当方Vo.、Gt.Ba.Dr.募集」という
“おまえ友だちおらんのかー”と、
思わず関西弁で突っ込みたくなるような張り紙を見て、
同級生と笑っていたことも思い出しました。
すいませんでした、あの時のボーカルの人。
今は、いつかあこがれの“メンバー募集”をやってみたいと思っています。