露天風呂の回

温泉が好き!という特集を眺めることも
秘境の宿、という特集を読むことも
特に好きではないわたしです。
「温泉いきた〜い」というだれかの他愛のない言葉に、
「いいね〜」と適当に答えるも、
特にいいとは思っていないわたしです。
この、温泉欲のなさ。

 

また、リゾート地へ行ってぼうっとする、
というようなことにもあまり興味がわきません。
日常から離れてなにも考えずに波の音を聴く…
2時間もしたら飽きてスマホをいじってしまいそうです。

 

でも、学生時代にはそれなりに「女子大生」らしく
温泉旅行へ行ったりしました。
なぜ大学生は温泉旅行に行くのだろう。
そんなに疲れてないだろうに。
あ、偏見でしたねすみません(笑)。

 

高校時代の友人たちと、冬の青森へ旅行に行った時のことです。
だれかの旅の話は95%くらいは退屈だと思うので適当に読み流してください。

 

確か、鈍行を乗り継いで行ったような気がします。
青函トンネルを電車で通り、鼓膜がぎゃんとしたのです。
何を目的に行ったのかというと、「海を目の前にのぞめる温泉」でした。
冬の青森はもちろん雪で、寒かったです。
ただ、「海を目の前にのぞめる露天風呂」だけのために、
電車揺られ、とあるホテルへ向かいました。

 

露天風呂は、もちろん外にあります。
ホテルの建物を出ると道幅1メートルくらいの道が海へ向かって伸びており、
その行き止まりに木製の衝立が立っている場所がありました。
そう、そこがお目当ての露天風呂です。
男女混浴だった気がするのですが、
まあるい温泉の両側に着替え場所として、その衝立が用意されていました。
あまりにも貧相な衝立を前にして、びびるわたしと友人たち。
そこで裸になる勇気はさすがになかったので、わたしたちはホテル内で着替えました。
バスタオル姿で寒風吹きすさぶ道を小走りで走ります。
まるで昭和のコントのようにその温泉へまっしぐら。
残念なことにほとんど詳細は思い出せないのですが(笑)、
とにかく無事に「海を目の前にのぞめる露天風呂」に入ることができました。

 

眼前に広がる海が日本海なのか太平洋なのか東シナ海なのかもわからないまま、
岩に打ち寄せる白波を友人たちと眺めました。
その波の荒々しいこと。
まるで「東映」のオープニング映像です。
お風呂の温度は高くて、10分もつかると頭がくらくらしました。
楽しかったです。
楽しそうにお風呂につかる写真が残されているので、そう思うことにします。

 

冷たい雪が降るなか、
そんなに好きではない露天風呂のためにほぼ裸で走ったあの時。

 

久しぶりに、あの頃の友人たちと行ってみたいです。

 

いつぞやも描いた(トレースした)気がしますが、
雪と言えば。