自粛しないビューティー 3月11日の回

はじめに。

 

今回の震災で被災されたすべての方に、
心よりお見舞い申し上げます。
そして、今回の原発事故で被害を受けたすべての方に、
心よりお見舞い申し上げます。

 

一日も早く、一人でも多くの方が、
大切な人と一緒にふたたび生活を、人生を生きていけますように。
ここで、祈り、願っています。

 

最近、
「ホロコーストの後、すべての文章は野蛮である」
そんな言葉を思い出してました。
でも記憶があやふやで、間違っていました。

 

「アウシュヴィッツ以後、詩を書くことは野蛮である」
正しくはこうでした。アドルノという社会学者の言葉です。

 

アウシュヴィッツと今回の地震はまったく違うけれど、
わたしは、いま、こうしてブログを書くということが
ある意味で「野蛮」なことかもしれないという気がしています。
でも、わたしはあの日を東京で体験した人間として、
今月は、震災のことを、たくさん書きます。

 

大震災のあと、ACのCMだけが流れていた時間。
はじめての体験でした。どこにチャンネルあわせても「AC~」。
ああ、いま、非常時なんだと、強く思う。
あの時の精神状態を振り返ると、
日常という空間から少しだけ切り離されてしまったような、
まわりの空気とうまくなじめない、ふわふわした自分を感じていました。
テレビから伝えられる現実に、心もあたまもまるで追いつかない。

 

あれから1か月が経ち、わたしは「いつも」に戻りつつあります。
いや、以前と違う「いつも」をはじめている、というほうが正しい。
もう、地震の前には戻れないのだから。
それでも、「ポポポポーン!」というフレーズを口ずさんだりしてます。

 

夜9時前なのに、ひっそり静まりかえった暗い街。
一日中、電気が消されて薄暗い駅の構内。

 

いろいろ、思いました。

 

地震後に見た最初の舞台、宝塚。
やっぱり電気、使いまくってる!!!

 

でもね、
東京電力管内でおこなわれる舞台をすべてやめたら
水の買い占めもなくなって、原発の問題も解決して、避難所の暮らしがよくなって、
ちっちゃな子がいるお母さんの心配が消えるの?
わたしは、そうは思わない。

 

わかります、舞台は日常生活の延長じゃないし、
いまはその日常生活さえ壊されてるってことはわかります。

 

でも、たとえば、被災地で卒業式をやるって、野球部がセンバツに出るって、
すごく大事なことだったと思うんです。
わたしたちは、生活をする、だけじゃなくて
豊かに生きる、ってことも全然していくべきで。
むしろ、こんな状況だからこそ、人生をとことん豊かにするべきなんです。

 

できない人がいるから、自分もやらない方がいい?
それは、正しいようで、違和感がある。イビツな感じがする。
わたしたちが同じような苦難を同じように味わっても、
被災された方の気持ちが、救われるわけじゃない。

 

深く、静かに哀悼の念を抱きながら、自分のいる場所で、
自分の日常をよりよく、より豊かに生きるべきだと思います。

 

ニュージーランドの大地震のとき、
避難所に、ケーキが届けられたってニュースを聞いた。
わたしは家族で、「ニュージーランドすげえ!」と感心したんです。

 

ケーキは、水や毛布みたいに緊急に必要とされる物資ではないでしょう。
でも、ケーキ、なんだか、うれしくないですか?
ケーキが届いたら、いまの状況が、少しだけ前にすすんだ気がしません?
ふっと力が抜けて、ほっとして、気分がハッピーになって、明るくなって。
それって、生きていてもいいかなって思えるってことです。
この時届いた甘くておいしい「ケーキ」は、希望だと思うんです。
背中を押してくれるあったかいなにかが、必要なんです。
ほんとうの意味での豊かさって、こういうことじゃん!!!

 

だから、
過剰に強制される「いまそんな状況じゃない」的な自粛ムード?
それが嫌なんです。自粛とか性格的にムリなんです。

 

わたしは舞台が好きで、あの非日常感がたまらなく好きで、
いつまでも、生きている限りずっと観たいと思ってる。
たしかに被災した方や、被害にあった方にとってみれば、
「被災」や「被害」がとんでもない非日常なわけで、
舞台という「虚構」が、この凄まじい「現実」を覆せるわけじゃない。
舞台を見ても、失ったものが元に戻るわけじゃない。

 

つまり、電気をくうだけで、なにも助けにはならないじゃないか。
やめてしまえ。中止だ。自粛しろ。

 

って、声高に、とくに偉い人が、ここぞとばかりに言いそう。
でも、わたしは断固、舞台を支持します!

 

わたし自身が、心の底から楽しみたいから。
日常を、よりすばらしいものにしたいから。
宝塚をみて、3時間とても幸せな気分になったよ。

 

わたしに言えることは、これだけ。

 

・・・影響されやすいんで、わたし。

 

日本一あきらめない女、真矢みき。
彼女を見ているとなぜか力が湧く、そんなあなたにささげます。

 

トレースしても似てないってどういうことですか。

 

でも、あきらめないでやってみました。

 

最後に、
いまも悲しみと苦しみを抱えて過ごされているすべての方に、
少しでも早く、穏やかで、やさしい時間がおとずれますように。
ここで、祈り、願っています。