宝塚なうの回

日本全国の宝塚ファンの中で、この方の訃報を聞いて
その場で崩れ落ちなかった人は恐らくいないでしょう。

 

「白バラの君」「永遠の二枚目」と謳われた
春日野八千代様ご逝去・・・・・・!!!!!!!!!!

 

現人神と思われていた最年長タカラジャンヌ(17期生)が、
この度鬼籍に入られました。
ちなみに、今年音楽学校に入学してきた子たちが100期生です。

 

まだ、うまく言葉が見つかりませんが、
生きる伝説だった「よっちゃん(春日野八千代先生の愛称)」が
現実からいなくなってしまうなんて、
ヅカファンの誰一人としてそんなこと夢にも思っていませんでした。

 

だって、来る100周年に、
大階段の0番(トップスターが最後に立って一番まぶしいスポットライトを浴びる場所)に
よっちゃんが立ってくれるって、トップオブトップとして不死鳥のように
あの祝祭空間に登場してくれるって信じてたから・・・。

 

謹んで、ご冥福をお祈りします。

 

と、いつになく神妙な雰囲気のなか始まりましたが、
話は変わりますよ。

この間ね、現役女子大生がツイッターに関してこんなことを話してました。

 

・・・この間さー、寝坊しちゃって、それツイートしたのね。

そしたら、○○と、授業一緒になったときにね、
『寝坊しちゃったんだねーツイッター見たょー』って言われたの。
で、え?ってなってー。あれ?フォローとかしてたっけ?って言ったら、
『ううん、リストに入れて読んでるのー』って言われて超ひいたよー。
ってかマジ怖くない?リストに入れて読んでるとかさー。
『なんだーフォローしてよー』とか言ったけどさ~
マジ怖いマジ怖いって思った~フォローとかマジ勘弁~
ぎゃははははは・・・(了)

 

という「自分をフォローしてないのにリストにして読んでるそこまで親しくない知り合いマジ怖い」
という生々しい話を耳にして、とても興味深かったです。

 

まぁでも、
「フォローもしてないしリストにも入れてないけど今たまたま隣の席で全部話を聞いてる女」も
本人は気づいてないからまだ笑って話してるけど、気づいたら相当怖いとは思いますが!
わたしのことですが!

 

今はツイッターもフェイスブックも当然のように使っていますが、
わたしが「友達」や「親友」や「同級生」という言葉に敏感だった思春期は、
まだ携帯(mova)の3和音にみんな「すご~い❤」と感動していた
携帯縄文時代みたいな時だったので、
「リアルタイム」という共時性は、肌感覚として薄かった。

 

電話やメールをしなければ、その人がどうしているかなんて知りえなかったし、
また、だれがなにをしていようが特に何も思わなかった。
だから、わたしその場にいなかった!(涙)みたいなことも、
まぁ知らぬが仏。後から話を聞いて「ふぅん」で済んだ。

 

でも、今はまったく違う。
「なんでわたしは蘭寿さんの誕生日に劇場にいなかったのか・・・わたしの馬鹿っ!!!!」
×24時間×1か月間後悔し続ける、なんてZARA。ほんとザラ。

 

みんながみんなとつながり、みんながみんなの行動をタイムラインにさらし、
何組の、何という演目の、どこの場面の、だれに目を奪われたかは瞬間的に共有される。

 

ツイッターで面白いと思うのは、みんなとにかく「リアルタイムを記述する」ということ。
自分が今何をしているのか、何を見ているのか、だれと会っているのか、
3和音の携帯しか持っていなかった頃では考えられなかった情報共有。

 

自分がしていること、見たこと、会った人について、
どうしても発言し、言い残しておきたくなるような焦燥感。
ツイッターで言っておけなければ、自分が感じたことが消えてしまうんじゃないか、
体験したものが嘘になってしまうんじゃないか、そんな思い。
一体何なんでしょうね、あれ。
ツイッターで「静か」だと、生きてないんじゃないかと疑われるっていうのは(笑)。

 

不思議な感覚を抱きながら、スマホの画面をスクロールする毎日。

 

主にヅカですが。

 

わたしがもし高校生だったら、こういう精神状況を強いられる毎日って、
どうなんだろうなぁとぼんやり考えます。
宝塚にハマっている今でこそ、いろんな年代のファンの方と知り合えて、
いろんな縁があり、ツイッターをやってておもしろいなと思いますが、
高校生とか中学生の子たちもそうなんだろうか。

 

ツイッター以前の、だれかの情報を「共有しない」ことを普通とする感覚というのか、
「共有し合わない」世界というのは、過去のものになってしまった。
そういうものは少しずつ、目に見えない形で摩耗されていき、消滅してしまうんでしょうか。

 

ツイッターは同族が集いやすいメディアなので、
その仲間意識、連帯感はとても濃密です。
「ハマる」のが恐ろしく速まります。
加速度的にのめりこんでゆき、チケットを追加し、
オスプレイが出す瞬間最高速度より速くお金が無くなります☆

とても、奇妙な感じがします。
宝塚と出会ったのは、必然だったかもしれませんが、
ツイッターがなければ知りえなかった宝塚のまた別の側面がある。

 

そこは広大な黒い森のような場所で、
分け入ったら最後、道を尋ねる人がすべてヅカオタなため、
一緒に迷うハメに陥り、時折美しいフェアリー(ジェンヌ)と偶然出会って
目が合った!ねぇ今こっち見たよね!?ヤバい呼吸できないヒイィ・・・!と始めたりなんかしたら
もはや断末魔の叫びとともに永遠にその森から抜け出せません。
そして、そんな夢を見ている間に現実では、数多くの諭吉さんたちが
ダルマ(宝塚で男役・娘役がレオタード姿で小羽根を背負い美脚を披露する姿)に変身し、
お財布という名の銀橋からどんどんハケていなくなってしまうという。。。

でもダルマって目が離せなくて困るんだよねー(他人事)。

 

100年この日本に息づいてきた麗しく妖しい悪夢は、
獲物をとらえたらそう簡単には離しちゃくれません。

 

まぁ、自ら進んで食われにいっちゃってる感満載ですが。
わたしのことですが。

 

みなさんには、そんな魔物がそばにいらっしゃるでしょうか?
そのために破産してしまいそうな、
そのためにすべてを失くしてしまいそうな何かが。

 

そばにいたところで、破産するだけですけどね☆
さーて秋の夜長に蘭寿ファントムの千秋楽映像でも観るか・・・(重症)。