五月病の回

わたしの五月病は、食欲が減退しないことを主に指すのですが、
みなさんは五月病でしょうか?

 

さて先日、わたしの宝塚ライフにおける最大の節目が訪れました。
ご贔屓の「退団」です。
5月11日をもって、わたしの敬愛してやまない花組トップスター
蘭寿とむさんが宝塚を去りました。
ひときわ美しくて、華やかで、大きな蘭の花が咲いたような姿でした。

もはやこの胡蝶蘭の花言葉に泣いてますけどもね!!!??!

 

男役の「蘭寿とむ」は永遠に喪われてしまいました。
宝塚の舞台に、彼女が男役として立つことは二度とありません。
いま、この心境を表現する適切な言葉が見つからないのですが、
晴れ渡った青空を見ていて、まえぶれもなく涙がでる。
そんな感じでしょうか。

 

何かを好きだと公言しておくことは、とても大事なことです。
ひょんなことから趣味の世界のネットワークは広がるもの。

 

私も宝塚を好きだと言いふらしていたおかげで、
素敵な出会いもたくさんありました。

 

正直、この年になって、
同年代の同じ趣味に燃える友人ができるとは思っていませんでした。
これも宝塚がくれた縁です。

 

ただ母親からは「大地真央さんのおっかけをしていた人がいてね、」
から始まる話を10回は聞かされることになりましたが。

 

父親と母親と友人と一緒に観に行った初めての宝塚の公演は、
宙組公演の『誰がために鐘は鳴る』。
ヘミングウェイ原作の舞台でした。

 

それから、父親と母親におすすめした花組公演『復活』。
これは大学時代の友人も連れていったのですが、なかなか好評でした。
こちらはトルストイ原作で、主人公のネフリュードフを
当時の花組トップスター蘭寿とむさんが主演しました。
原作では頭の薄い中年のおっさんだったので、原作を読んでも
どうしても蘭寿さんとネフリュードフが結びつきませんでしたが、
実際の蘭寿ネフリュードフはそらもう美男子で、
美男子すぎてわたしの頭がハゲあがるかと思いました。

 

わたし同様宝塚が好きな母親はもちろん、
父親は、これまで観た2回の公演のことをよく憶えてくれていて、
たまにそのことを話してくれます。

 

『誰がために鐘は鳴る』については、
「あれは、すべての人間に祝福の鐘は鳴るということなんだ」
と言われ、ハッとしました。

 

人の人生には不平等がつきまとうもの。
それでも、最期の瞬間には、どんな人にも同じように神の祝福がある、
祝福の鐘は鳴るのだ、と。そういう主題なのだろうと言われ、
そのとき初めて、わたしの頭上で鐘が鳴りました。(カーン)

 

そのときに2番手で出演していた蘭寿とむさん(元:花組トップスター)の
「戦争なんてくだらねえええええええ!!!!!!」という一言叫んで
ダッシュで去るという演出のインパクトが強すぎて、
また初めての宝塚は初めてのことづくしで、
きゃーうわーって心の中で叫んでいたら終わっていたので、
そこまで何も考えられませんでした。

 

今考えればもったいないことをしたものです。

 

宝塚にさしたる情熱や興味のない父親から
「あれは面白かった」と言われると、やっぱり嬉しいもので。

 

母親と娘の好きな趣味に付き合わされる父親の、
なんともいえないあの「座らされている」感がとても愛おしく、
上演中に時たま吹き出したりもしていましたが、
また誘いたいなと思う今日この頃です。

 

というわけで、少し感傷的な気分でお届けしました。
このブログでの宝塚ネタも今回でなりをひそめるかもしれません。

 

ヅカファンになって、ヅカファンとして、
初めて好きな人が卒業する、というイベントを経験しましたが、
「わたし、青春していたなあ」とつくづく思いました。
不思議な気持ちです。

 

そうなると、
今後はわたしの食生活ネタかのろけ話かどちらかになりますが。
そんな話くだらねえええええええ!!!!!!という声が聞こえてきそうです。

 

もうすぐ梅雨になります。
季節はめぐっていくのです。

 

余生は、蘭寿さんのDVDを観ながら静かに過ごしたいです。