ビューティーなメモリー 旅の回

毎回宝塚の話でもいいくらいなんだけど、
それはおいといて。

 

みなさんは英語しゃべれますかー?
ここで「Yes」と即答できるのはもはや水嶋ヒロだけか!?
わたしももちろん中学校から大学まで英語は必須だったけど
座学で学んだからといって現地でペラペラってわけにはいかない。
そこがねえ。日本の英語教育のアレなとこですよねえ。ねえー。

 

海外旅行に行ったとき困るのは言葉だー!!
もうーホントはるかしんぱーい♥♥♥

 

さて、成田で出国審査を受けるとハッキリ言ってもう国外。
まだ英語の必要はないけど、
なんとなく免税店のお姉さんたちは日本人ぽくない。
はい免税。はい購入。
免税店のタバコ売場ってなんかよくないですか?
いつもこじんまりとコンビニや自販機におさまっている
タバコたちが、ズラッと何カートンも陳列されてる姿が好きだー。
そのあと動く歩道で芸能人&芸能リポーターごっこをやってみたり。
え、しないの!?ひと旅一度はするよね!?

 

日本を出発して、さあ機内です。
外国の飛行機会社っていいないいなー。
これから向かおうとする国の客室乗務員さんたちは、
その国の空気をまとっているから。
ああほんとうに出発するんだなと思ってわくわくする。
でも、楽しみでしかたないのと同じくらい心臓の位置のおさまりが悪いっていうか、
自分がちいさなあの心臓にきゅるきゅると縮んでしまった気がして
大きなからだを持て余してしまうような、落ち着かない気分。

 

機内での英語はそんなに重要でもない。
客室乗務員さんたちはお客様に対してとても親切だし、
そこでの会話もある程度限定されてるから。
ほしい飲み物、ビーフなのかフィッシュなのかとか。
寒いからブランケットがほしいとか、テレビが映らないとか。
英語はそれくらいでいい。
なんならジャスチャーでいい。
わたしは機内で、渡航先の国の言葉で使えるものがあれば
あいさつとかね、使ってみる。
がんばって「フルーツぜんぶください」とたとえばドイツ語で言ってみる。
そうするとうんうんと深くうなずいて、
宮崎駿の『天空の城ラピュタ』にでてくる
盗賊の女頭領みたいな風貌のベテラン客室乗務員が、
フルーツをぜんぶ乗せてエレガントにサーブしてくれる。
「ダンケシェーン」とまたドイツ語で。彼女も「ビッテシェーン」とかえしてくれる。
そういうやりとりはすごく楽しい。

 

 

 

でも、現地に着いてからがほんとうの勝負。
いつも、常に、100%なにかが起きる。それはどこか。

 

ホテルだ。

 

わたしはよく「3人一部屋」を利用する。
そこで部屋に着いてまず見るのは、ちゃんとベッドが3つあるか。
たいていひとつはエキストラベッド。

 

でもよかった。ちゃんとある。
次は、タオルなんだけど・・・・・・あるある。セーフ。

 

スリッパがーーーーーーーーーー!!!
3人でスリッパが2つしかない。
日本と違ってスリッパが常備なホテルはむしろ珍しいけど、
そこはアメリカンスタイルのホテルだったので用意されていた。
こういう事態で両親は、真夜中の海のように静かに横たわってしまっているため
わたしがフロントへ電話することになる。

 

―(現地の言葉)こちらフロントです
―(英語)アー、アー、わたしの部屋は333です
―(英語)はい
―(英語)アー、わたしたちは3人です。でも、スピッパが2つです
―(英語)すみません、もう一度?
―(英語)2つだけのスピッパーしかないんです
―(ちょっと沈黙)・・・
―(英語)アー、なのでお願いします。333です
―(英語)オーケイ!バイ!

 

10分後、ハウスキーパーの一人が、部屋のベルを鳴らした。
職業的な笑顔で、1枚のタオルを持って立っていた。

 

・・・・・・スリッパ通じてねえ!!

 

ってことで、結局「これがほしいんです」と現物を見せて
「あーはいはい」となったわけで、二度手間になってしまったけど
彼はスリッパを持ってきてくれました。ありがとう・・・。

 

こういうエピソードはほかにもあって、
まあね、3人とかで泊まると足りなくなるわけで。
なにって、トイレットペーパーがね。
たとえひと巻きでも、まだ残っていると補充してくれないから
ちょっとね、足りなくなっちゃう。

 

そこである夜、わたしはフロントへ電話したわけです。
ここは臨場感をだすため英語でお楽しみください。

 

―RRRR RRRR RR プツ
―Hello, ah・・・・・・my room is 222.
―Yes.
―Ah, and I have no toilet paper.
―・・・・・・I’m a guest.
―Ah, so, my room has no toile・・・
―I’m a guest.

 

訳すまでもないけどこういうことですね。

 

―アー、こんにちは。わたしの部屋は222です
―はあ
―アー、えー、トイレットペーパーがないんです
―・・・・・・わたしは客だ
―えーとだから、部屋にトイレットペ・・・
―わたしは客だ

 

つまりわたしは他のお客さんの部屋に
「トイレットペーパーない!」っていきなり電話したと。
たしかにフロントの人にしては愛想がないっていうか
眠たげな声だなーとか思ってたら、あんたそれお客さんだよっていう。
電話の向こうの男性も呆れてました。

 

そのあと平に平謝りしたら、うんざりした声で「Good night」って言ってくれました。
英語がド下手でトイレの紙がない!ない!と言ってくる失礼なヤーパンにも
おやすみって言ってくれるなんてジェントルメーン!

 

海外へ行くとわかるけど、向こうの人たちはユーモアにあふれてる。
よく洋画で、主人公が生きるか死ぬかみたいなシリアスなシーンでも
余裕ぶっこいて冗談言い合ったりするけど、あれ多分、本当にあると思う。

 

たとえば。
わたしがオランダでとても×100お世話になったホテルがある。
その時わたしは緊急の事態に見舞われて気が動転していて、
異国の地でどうしようもなく不安で泣きそうだったのだけど
そこで、宿泊客でもないぜんぜん関係ないツーリストのわたしたちに
このホテルは善意で大きな部屋を一時的に貸してくれて、
あたたかいスープや飲み物をだしてくれたのだ。
数時間後そこを離れる時、わたしが本当に助かったと言ってお金を払おうとすると、
対応してくれたマネージャーは首をふってこう言った。

 

「ぼくが日本に旅行して困ったことがあったら、その時は君に助けてもらうよ」

 

ねえ!?聞いた!?みんな聞いた!?このジェントルメン発言!!
っていうか聞き取れたわたしすごくない!?
じゃなくて、どんだけジェントルメンなんだよーって!!このやろー!!
グッドウィルハンティング旅立ちかよー!!泣かせるわーい!!
連絡先とか教えたわけじゃないから、彼は本当に、
わたしに気を遣わせないためだけに言ってくれたんですよ。
いやーすごい。マジでキュン死に5秒前ですよ。号泣ですよ。
救われたよねーこの一言!!
さりげないユーモアと、おちゃめな優しさバンザーイ!!

 

2年後くらいに、またオランダに行った時
お礼を言おうとそのホテルを探したんだけど、結局見つからなかった。
今もオランダのどこかにある、森のヴィラみたいなホテルです。

 

だ~か~ら~みんなもゆけ~~~~~~~~!!!!!
海外~へ~~~~~~~~~!!!!!