ビューティーなソング 母の回&父の回

寝ても覚めても白ご飯のことを考えていると思われているビューティーですが、
そんなことないよね。

 

最近は歌のことを考えていたのだ!
じゃじゃーん!
だれかが歌っているとそれが耳に残っちゃって、
結局自分も歌っちゃうってことあるよねー。
うんうんあるあるー。
それは当然のことだが歌がうつっているのだー!
最近わたしがうつって、無意識に口ずさんでしまうのは
そう!宝塚のミュージカル『エリザベート』のナンバーです!!!!

 

「エ~リ~ザベ~ト~泣かない~で~おやすみ~わたしの~うでの~なか~で~」(トート)
3時間のDVDの見過ぎで歌詞覚えちゃうっていうね。
歌いたくなるいい曲たちなんだよう。ミュージカルは曲が命!
「あなたには~たよら~な~い~~。・・・出ていって!」(エリザベート)
そのミュージカルを観たあと、
マネしたくなるかどうか!?でミュージカルの良し悪しがわかるよね!
あと自分のハマった度がわかるよね!

 

でも、ずっと憶えてる歌ってありません?
J‐POPとかじゃなくて。

 

わたしは、もう十数年前に聞いた歌を、いまだに憶えてます。
それは絵本のなかにでてくる。
タイトルは「ぞうのたまごのたまごやき」。
そこにでてくる一節、

 

ぞうが たまごを うむなんて
ぼくらは きいた ことがない

 

という部分なのです。
この部分ね、忘れられないんです。
それは、母が歌ってくれたからなんですね。
もし、異星人に連れ去られて脳の記憶リセットボタンをポチっとされても、
これは歌えそうな気がする。
ってくらいからだになじんでるのさ。

 

もちろんミュージカルみたいに朗々と歌い上げるわけじゃなく、
節とリズムがついてるだけ。
もともと絵本に、「ここは歌って」とか「♪」がついているわけじゃない。

 

母は、ぜんぜん自分の感覚で歌ってくれたんです。
お姉ちゃんも、その絵本を母に読んでもらっていて、歌を知ってる。
だから同じように歌える。同じ音程。同じリズム。

 

どの絵本よりも、その絵本はわくわくした。
長新太の、色が鮮やかにあふれてる絵がすばらしかったのもあるけど、
母の歌が、やっぱり好きだったのかもなー。
絵本を子どもに読むときは、ぜひ歌ってください!
だって、ずーっと憶えてるし!記憶消されても歌えるし!(たぶん)。

 

母は、絵本をかなり楽しんでいたと思う。
自分が『雪の女王』好きだったから、そればっかり読んでくれたり。
しまいには自分のものにして、わたしの本棚からは消え去りました。

 

 

『てぶくろをかいに』では、わたしはこどもながらに、
母の「おててがさむいよう」という子ギツネのセリフに涙したものです。
ていうかもう、そこしか記憶にないよね!
いまでも、『てぶくろをかいに』の話になると、
懐かしいわ~あれ好きだったの~特に「おててがこごえちゃうよう」の場面、
と、絶妙にセリフをアレンジして再現してくれます。

 

ちなみに父は、寝る前に、お話を聞かせてくれました。
登場人物はその回によって増減があったけど、
太郎、次郎、花子の3人のみ!
花子にいたっては、登場回数がかなり低かった気がする。

 

父はわたしの隣で、気難しい顔を少しだけやわらげて、話し出す。
こんなふうに。

 

太郎は、道で次郎と出会った。
「やあ、次郎くん」
「やあ、太郎くん」
・・・・・・・・・・・・・・ドンデンドンデンドンデン!

 

完!
っていう。
数秒!
っていう。
ほんと短かったんだよねー。
しかも、謎のエンディングテーマ「ドンデンドンデンドンデン!」。

 

なんだろう、これ。
でも、このテーマ大好きなんですよねー。
本当は「次回を乞うご期待!」のテーマなんだろうけど、
そのあとまったく次回につながらず、強制的に1話完結でした。

 

もちろんお姉ちゃんも、父からこのドンデンストーリーを聞いていた。
二人とも、そのお話に夢中だった。
太郎、次郎、レアキャラ花子。
花子がでてくるとこんな感じ。

 

太郎と次郎は、あそんでいた。
そこに、花子がやってきた。
花子は、走り出した。
「待っておくれよ、花子さん!」
太郎は、花子のあとを追った。
・・・・・・・・・・・・・・ドンデンドンデンドンデン!

 

あれ、次郎は???
花子、なぜ突然現れそして走り出す???
不可解すぎて逆に目覚めるわ!っていうね。

 

話はじめるぞーと言われたことはないんです。
わたしがお話きかせてきかせてーと言った記憶もあまりない。

 

寝るまでの、永遠にのびていきそうな不思議な時間。
まだ電気はついていて、
ふとんの上で、父が隣でひじをついて横になっている。
わたしは、お気に入りのキティちゃんのタオルケットに
くるまって(この頃から可愛かったんだね!わたし!)なんとなく、ぼんやりしていて。
そんなとき、おもむろに、話ははじまるのだった。

 

ほんの一瞬だけ、想像の世界に登場する太郎や次郎や花子。
ぜったいに名前を呼び捨てにしない、太郎や次郎や花子。
ちょっとしゃべり方が古風な、太郎や次郎や花子。

 

聞いているときは、自分よりすこし大人の、中学生くらいだと思っていた。
お話はすべて学校の外のできごと。
夢うつつに想像した太郎と次郎は、昔の中学生みたいな学ランと角帽姿。
でも、窮屈な学ランを男らしく脱いで、
きっと白いTシャツっていうか肌着?だったはず。
ヒロイン花子は、淡い色の花柄ワンピース!まるで小津安二郎の世界。

 

 

ぶ厚くて難解なドイツ語の研究書ばかり読んでいるそんな父が、
わたしとお姉ちゃんに聞かせてくれたベリーショートストーリー。
はてしなく続いていきそうだった。
太郎も次郎も花子も永遠に、中学生のままで走り回っていそうだった。

 

そして、いつまでも耳に残る「ドンデンドンデンドンデン!」。
もしかしてどんでん返しがあるぞって意味・・・?
でも1話完結だったよね・・・?
いまだ謎!

 

ぶっきらぼうな、なげやりな、あっという間のドンデンワールド。
でも、わたしははっきりと、太郎や次郎や花子を知っている。
太郎と次郎が親友で、花子は二人のアイドルであること。

 

そして、父はいつも眠そうだったこ・・・・・・zzz